長い旅路だった。阪神チーム最年長の40歳糸井が11日広島戦(マツダスタジアム)で史上31人目となる通算300盗塁を達成した。昨年7月2日の中日戦(ナゴヤドーム)で王手をかけてから436日ぶりの盗塁で到達。二塁ベース付近の糸井は笑顔で記念のボードを掲げた。ベンチの盛り上がりも尋常じゃなかった。

プロ野球ですっかりおなじみになった記念のボード。お察しの通り、このボードは記録達成目前になれば、「その時」に備えてベンチ裏にスタンバイしている。ただ、その瞬間がいつ訪れるかは誰にも分からない。今回の記録は盗塁という性質上、王手をかけるずっと前から準備され、球団スタッフに携えられて全国を旅してきた。

東京、横浜、北海道、仙台…。時には球場に向かうチームバスに乗り遅れたこともあったが、チームスタッフが宿舎まで取りに帰って試合開始にはきっちり間に合った。

糸井は「みんな喜んでくれてそれが一番思い出になったし、うれしいですね」と周囲の笑顔を喜んだ。チームメートやファン、さらにはボード製作に携わった人やボードを運んだスタッフ。みんなが笑顔になる終着地広島だった。【阪神担当=桝井聡】