<ソフトバンク4-2日本ハム>◇25日◇ペイペイドーム

時間がたつのは早いものだ。あれからもう22年が過ぎた。ホークスが福岡に移転して11年目の99年秋。ちょうどこの日と同じ「9月25日」だった。思い返せば、相手も同じ日本ハムだった。マウンド付近に集まったナインから胴上げされた王さんの姿は美しかった。両手を大きく真横に広げ、4度宙に舞った。「広い宇宙の中で1人なんだ」。監督就任から5年目でつかんだ栄冠。潤んだ目で笑顔をつくった王さんの言葉が印象的だった。

3-4。1点を追う7回に小久保が24号ソロを放って同点とした。続く8回には井口が勝ち越し14号ソロを放ち、逆転勝ちした。外野の守備から勝利を見届けた秋山の目にも涙が浮かんでいた。王監督からキャプテンに指名され、背中でV経験のないチームを引っ張った。王監督に次いでナインの手で3度宙に待った。

ホークスが福岡に羽を下ろして初のリーグV。思い出す登場人物は今、指導者となってパ・リーグを熱くする。工藤政権7年目の今季、小久保はヘッドコーチとして再びホークスのユニホームに袖を通した。米国挑戦からロッテで日本球界復帰した井口は、そのままチームを率いてVロードを走っている。もちろん、現役時代からV請負人と言われ、99年に11勝を挙げリーグMVPに輝いた工藤は、必勝のタクトを振って逆襲を誓っている。時は過ぎたが、あの時のV戦士は、まだまだ熱い戦いの渦中にいる。

最下位日本ハムとの3連戦。初戦を落としたソフトバンクは先発石川の粘投、序盤の打線のつながりで白星を手にした。必勝のラストスパート。負けられない試合は最後まで続く。残り23試合、激闘を誓いながらも時間は長く残されていない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】