日本で“兄弟げんか”が起こった。

ヤクルトのアルバート・スアレス投手(32)が、9日阪神戦の8回表に登板。3者凡退で打ち取り、ベンチに引き揚げた。直後の8回裏1死から、弟のロベルト(阪神)がマウンドへ上がった。兄アルバートは、9回の投球に備えてベンチ脇でキャッチボール。合間に弟へ視線を送り、投球を見守った。ヤクルトにとって8回3つ目のアウトを取られると、弟がいたマウンドへ。兄弟の投げ合いが実現した。

ともに異国で腕を振る。前日8日は32歳の誕生日。試合前の練習時にケーキを持った弟から祝福を受けた。また、「アルベルト×ロベルト Wスアレス コラボレーションタオル」の発売がこの日に発表され、笑顔で記念撮影。“家族の時間”を楽しんだ。

19年にヤクルトに入団してから2年間、16試合すべて先発。今季も13試合でスターターとしてマウンドに上がってきたが、今季終盤からリリーフに回った。弟は阪神の不動の守護神。優勝争いの中、ライバル心を持つ。「弟とはリリーフについて特に話したりはしていないんです。マクガフとはいろいろして、登板に役立てています」。勝つ上で、チームメートのアドバイスを糧にしている。3日には来日初セーブを挙げ、弟もセーブを記録。NPB史上初めて兄弟同日セーブを達成した。弟からは「チャンピオンを争うライバルではあるけども、共に日本で戦う仲間として、そして兄弟として、彼の成功をうれしく思うし、これから共に頑張っていきたい」とエールを送られた。

故郷・ベネズエラから遠く離れた地で、“かっこいいお兄ちゃん”の姿を見せ続ける。「とにかく0点をスコアボードに刻めるように、打者1人1人に向かっていきます。メチャ、ガンバリマス」と意気込んでいた。【ヤクルト担当=湯本勝大】

2021年10月9日 ヤクルト対阪神 8回裏、力投する弟のロベルト・スアレスを見つめる兄のアルバート・スアレス(撮影・河田真司)
2021年10月9日 ヤクルト対阪神 8回裏、力投する弟のロベルト・スアレスを見つめる兄のアルバート・スアレス(撮影・河田真司)
2021年10月8日 バースデーケーキを手に阪神スアレス(左)と抱き合うヤクルトのスアレス
2021年10月8日 バースデーケーキを手に阪神スアレス(左)と抱き合うヤクルトのスアレス