最大の武器を持ち、プロの扉をたたいた。オリックスのドラフト4位、慶大・渡部遼人外野手(22)は50メートル走5・9秒の俊足が持ち味だ。

「塁に出れば、何か起こせるかなと思っている。プロの世界で新しい発見があると思いますし、盗塁の得意な人に、いろいろ聞いていきたい」

背番号が0に決まった男は「失敗0の男」だった。慶大時代の公式戦で33盗塁を企図し、全て成功。成功率は100%を極めた。「無理はしないのがモットー。まずはアウトにならないことが大前提なので、リードはあまり大きくない」。スタートの瞬間に神経を研ぎ澄ませ、初速を意識し、果敢にスチールを決める。

塁上では投手に熱視線を送る。「相手を観察することに一番力を入れています。クセのない投手もいるので、見抜ける投手をしっかりと見抜けるように」。プロでも「経験を積みながら(投球の)間だったり、雰囲気だったりを察することができたら」とさらに磨きをかけるつもりだ。

お手本はチームメートになった福田周平。リーグVにけん引したリードオフマンに「出塁率を上げる方法を聞いてみたい。結果を出せている理由やコツを聞きたい」と胸を躍らせる。福田が今オフに背番号を1に変更したため、球団行事などで隣に並ぶことが多くなりそうだ。「0は、一番最初の番号。福田選手が1番に変更されたんですけど、そこが一番と思われないような存在感で頑張りたい」と負けん気いっぱいだ。

「0」に愛着を持ち「次の目標は、年俸に『0』を一つ増やせるように頑張りたい」と大きな野望も持つ。入団時の推定年俸は900万円。0が1個増えれば9000万円。タイトル獲得など、一気にブレークすれば…と夢は広がる。

「いつか失敗はする。失敗を恐れず、必死にやっていきたい」。アマ時代に失敗しなかった男は、果敢に次の塁を狙う。【オリックス担当=真柴健】

オリックス新人入団発表であいさつする渡部(撮影・前岡正明)
オリックス新人入団発表であいさつする渡部(撮影・前岡正明)