1人の若竜が初の1軍キャンプで懸命にアピールしている。20年育成ドラフト3位で入団した2年目右腕、松木平(まつきひら)優太投手(18)だ。甲子園経験はなく、大阪・精華高での投手経験は1年ながら素質の高さを買われ、プロに飛び込んだ。実質投手3年目だ。

沖縄・北谷で2日続けて入ったブルペンでは立浪監督の視察にも動じず、直球主体に30球を投げた。「バランスよく投げられ、リリースもしっかり掛かった強い球が放れた」。強心臓を思わせる投げっぷりで、指揮官も「いいボールを投げていた。もっともっと力をつけて、さらに高いレベルを目指してもらいたい」と期待を寄せていた。

秋季キャンプでは落合ヘッド兼投手コーチが課したテストに挑んだ。直球だけを投げてストライク率を測る「ストライクテスト」で好成績を残し、今年の1軍キャンプ切符につなげた。1月は投手2冠の大先輩、柳の自主トレに直訴して参加し、手ほどきを受けた。飛躍のシーズンになりそうな予感がする。

初体験の1軍キャンプは松木平にとって驚きの連続だ。「2軍とは違って、会話のレベルが高い。ウエート室でも野球の話ばかり。2軍ではあまり聞けないような会話が聞けた」と耳を通しても成長を続ける。2日の投球練習の相手は正妻・木下だった。「テレビで見ていて、キャッチングとかリードとかすごいうまいキャッチャー。1度受けてほしいなと思っていたが、実現するとは思わなかった」と声を弾ませた。

珍名「松木平」のアピールと、奪三振王が夢。「技術面も人間性も成長して、変わったなと思われるくらい成長したい」。アメリカンドリームならぬ北谷ドリームを若竜がつかめるか、注目だ。【伊東大介】