競争が楽天に相乗効果を生んでいる。これまでの練習試合は4勝2敗1分けと好調。若手選手たちの活躍が目立っている。その奮起の背景に、石井一久GM兼監督(48)の“フラットな目”がある。「ベテランだろうが若手だろうが、今年に関して言えば名前での勝負はさせないというか。そこはあまり関係ないかもしれないですね」と明かした。

例えば先発ローテーション争い。田中将、則本、岸、涌井ら実績ある投手が多い。加えて昨年は滝中と早川がローテーションを守った。昨季中継ぎで飛躍した西口が先発転向。他にも高田孝や鈴木翔も先発候補として練習試合で積極的に起用している。指揮官は「今のところで言うと、翔天(鈴木)だったり孝一(高田)も頑張っている。どこかのタイミングで彼がだらしなければ、その場所をどかないといけない。そこは競争」と断言する。裏を返せば、アピールが首脳陣の目にとまれば、実績にかかわらず平等にチャンスは与えている。

野手では、今キャンプMVPに和田と田中和を挙げた。「自分がこういう風に取り組みたいから、こういう取り組みをしてますという姿が見えた」と評価する。練習試合でも積極的に起用。和田には主に4番を任せ、7戦3本塁打と期待に応えている。24日巨人戦(那覇)でも勝ち越しとなる適時打。好調を続けているが本人は「打席も多く立たせてもらってるので、なんとかもっと使いたいと思われるような結果出していきたいと思います」と気を引き締め続ける。

若手にとってみれば、より力が入る環境である。チャンスをものにしたい、期待に応えたいという気持ちが、闘志となってプレーに表れる。ただ、指揮官はやみくもに若返りへかじを切らない。求めるのは、実力が伴ってきたり、使いたい、試したいと思える土台ができること。「孝一も翔天もしっかりと頑張って土台にいるじゃないですか。野手にしても土台がなければ若返りと言っても土俵に上がれない。来てほしいですね。そうしないとチャンスは渡せないかな」。名前、実績、年齢不問の競争。開幕までにどのような争いが繰り広げられ、どんなメンバーが名を連ねるのか楽しみだ。【楽天担当=湯本勝大】