<ソフトバンク6-3日本ハム>◇26日◇ペイペイドーム

笑顔なくドーム球場の通路を歩いていたのは、半日前のことだった。「やってしまいました」。消沈する気持ちを何とか奮い立たせようとしていた。自宅に戻ってもぐっすりとは眠れなかったはずだ。「プロ」に求められるのは結果だ。気持ちの切り替えとポジティブ思考…。ソフトバンク今宮が悔しさをバネに、蘇生した。

開幕戦は2番遊撃で先発出場。いきなり初回無死一塁で送りバントを失敗。初対戦の新人北山の球に職人技を持つ男も差された。ガルビスの満塁弾でチームは逆転勝ち。藤本新監督も興奮する開幕白星だったが、今宮は3打席で交代。代わった遊撃を争うガルビスが大ヒーローとなっただけに気持ちは複雑だ。あまりにも鮮明な「明暗」だった。

2戦目で雪辱した。打順は8番に下がったが、遊撃で先発出場。2回に今季初安打となる左翼線二塁打を放つと、同点の5回には1死から左翼フェンス直撃の二塁打。大量5点を挙げる口火となった。昨年までの今宮だったら、この2本で安心したかもしれない。開幕戦の失敗を取り返すには十分な2二塁打だ。だが、8回に巡ってきた4打席目には左腕長谷川威からしぶとく遊撃へ内野安打を放って「猛打賞」とした。

「本当にやるしかないという気持ちで試合に臨みました。今日は打席の感覚も非常に良かった。こういう日を1日でも多くしていかなければならないと思う」。試合後、今宮は広報にコメントを託した。「野球人生を左右する1年になる」と言って臨んだ今季は、文字通り背番号「6」にとってサバイバルのシーズンとなる。三十路(みそじ)を超えた男にとって、あらためて存在感を見せつけるには絶対的な数字が必要なのである。そう、下を向いているヒマはないのだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

ソフトバンク対日本ハム 2回裏ソフトバンク2死、今宮は左翼線へ二塁打を放つ(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対日本ハム 2回裏ソフトバンク2死、今宮は左翼線へ二塁打を放つ(撮影・屋方直哉)