DeNA藤田一也内野手(39)の飾らず、ありままの思いを語る姿がかっこよく映った。19日の阪神戦、1点差の4回2死三塁で代打で起用され、古巣復帰後初打点となる同点の右前適時打をマーク。お立ち台から「ただいまー!」と叫び、スタンドから大きな拍手を全身に浴びた。

「1軍に復帰してから、首脳陣の方がチャンスで使ってくれてて、先日のヤクルト戦みたいな悔しい打席もあったので、今日は何とか打てて良かったです」

17日のヤクルト戦では、同点の8回1死満塁から代打で起用されたが、二ゴロ併殺で凡退。9回に1点を勝ち越され、チームも敗れた。「当日と昨日と本当に悔しい思いだったし、チームに迷惑をかけてるなと。めちゃくちゃ反省したし、悔しかった」と言った後、切り替えた過程を包み隠さずに語った。

「去年の10月、11月のことを思えば、1軍で結果が出なくて、悔しい思いができるっていうのも幸せなこと。こういう悩みもあの時引退を決意していたら、この悔しい思いもできなかったなと。そういうふうに気持ちを切り替えて、チャンスをもらった時にいい結果が出せるようにと」

昨オフ、楽天から戦力外通告を受け、去就が決まらない中でもオファーを信じ、己と向き合い続けた日々を振り返りながら、グラウンドでのリベンジへと気持ちを向けた。ひたむきに、泥くさく、一振り、1プレーにかける藤田の姿は見る人の心を揺さぶる。【DeNA担当=久保賢吾】

DeNA対阪神 4回裏DeNA2死三塁、右前同点適時打を放つ藤田。投手西勇(撮影・河田真司)
DeNA対阪神 4回裏DeNA2死三塁、右前同点適時打を放つ藤田。投手西勇(撮影・河田真司)