10年あれば人は変わる。3日に西武山川穂高内野手(30)がリーグ最速10号2ランを放つのを見た。共有された取材音声を聞くと少し懐かしい気持ちになった。というのも、大学時代に何度か話を聞いたことがあったから。

会社のデータベースで検索してみた。12年11月26日。若かりし山川(富士大)と広島大瀬良(九州共立大)、それに前年の甲子園優勝右腕、吉永健太朗投手(早大)の3ショット。アジア選手権のため台湾に出発した日だ。確か早朝だった。6時ころ羽田にいないと見送りに間に合わないため、報道は私1人。もはや取材というより世間話をしながら歩いた。結果、学生感強めのピース写真がカメラに残った。

ただこの写真、翌日の朝刊には載っていない。紙面が他の話題で埋まっていたからだ。1面の見出しはこう。「大谷 ハム入り 次回交渉で表明 栗山監督決定打」。花巻東・大谷翔平投手を日本ハム栗山監督が説得し、メジャー志向から一転して入団濃厚になった日だった。2面まで関連ニュースが入り、他の記事は小さくなった。

この2面の登場人物を見てみる。大谷は海外でも愛されるメジャーリーガーになり、栗山さんは侍ジャパンの監督になった。山川も大瀬良もプロの第一線でプレーを続けている。例えば今、この2人が国際大会に出発するとなったら、記者が1人なんてことにはならないだろう。吉永くんはどうしてるかな、とたまに考えることがあったが、最近他媒体のインタビューを拝読したところ、お元気そうでうれしくなった。

10年は人が成長するのに十分な期間だ。立場、環境、考え方。何かしらみんな変わっている。新陳代謝の激しい野球界は特にそう感じる。ふと自分を顧みると、あまりの不変ぶりにがっかりする。会社員はプロ野球選手とは違うけれど、そんな人たちを物差しにさせてもらいながら、今日頑張ったら10年後何か変わるかも、と前向きに働こうと思った。【遊軍 鎌田良美】