広島が交流戦に苦戦していた6月上旬、2軍では1人の期待星が戦列に復帰した。昨年ドラフト4位の高卒新人、田村俊介外野手(18=愛工大名電)だ。下半身のコンディション不良による離脱から、3日のウエスタン・リーグ阪神戦で72日ぶりに復帰。復帰まで時間を要したものの、入団時に定めた「1年目に1軍」という目標がブレることはない。

1日だけ参加した今春の1軍キャンプでは、紅白戦で二塁打を放ち、ファンの間でも注目された。高卒1年目野手の1軍キャンプ参加はフルで同行したの19年の小園を除けば、13年鈴木誠までさかのぼる。ウエスタン・リーグの開幕戦で先発出場。開幕から出場4試合で単打1本に二塁打、三塁打をマークした。思わぬアクシデントでアピールの舞台を失ったが、落ち込む気持ちを奮い立たせてくれる先輩の存在があった。

「誠也さんも、高卒4年目のときに下半身をケガされて、ウエートトレーニングをされていたと聞いた」。

カブス鈴木は広島入団4年目の16年春季キャンプで右足を痛めてて離脱した。それでもその間、ウエートトレーニングなどの取り組みが実を結び、同年に「神ってる」と言われた飛躍につなげた。

田村が失意にいた3月末。テレビに映る先輩の姿が、リハビリに向かう気持ちを前向きにしてくれた。2カ月超のリハビリをやり抜き、グラウンドに戻ってきた。復帰後初先発となった7日中日戦で二塁打を放ち、9日からは3戦連続安打。23日のソフトバンク戦では復帰後初タイムリーもマークした。

近年は高卒野手でも早期で1軍に上がるケースが増えている。広島では開幕1軍入りした小園のほか、鈴木誠、坂倉がそうだ。そして、チームの中軸へと成長している。菊池涼や西川を発掘した松本担当スカウトが“即戦力”と太鼓判を押す注目株。出遅れを取り戻すポテンシャルを秘めている。【広島担当=前原淳】