2軍、3軍とも試合がなかった練習日に、とある取材のため、ファームの本拠地タマスタ筑後を訪れた。メイン球場では2軍がフリー打撃、サブ球場では3軍がシートノックを行い、室内練習場ではリハビリからの復帰を目指す故障者たちが汗を流していた。2軍か3軍が遠征に出ているケースも多く、ファーム全員が同じ時間帯に練習をしているのを見るのは久々だった。あらためて、すさまじい施設だなと実感させられた。

そんな中、メイン球場で打撃練習を行う2軍の中に、増田珠内野手(23)と野村大樹内野手(21)の姿があった。野村大は今月3日、増田は5日に出場選手登録を抹消されたばかり。小久保2軍監督にハッパをかけられながらバットを振る2人を見て「筑後ホークス」の戦いぶりを思い出していた。

ソフトバンクは先月中旬から主力に新型コロナ陽性者が多発。だが6月以来の5連勝も記録するなど、若手中心のチームが奮闘した。そこで大活躍したのが増田であり、野村大だった。彼らは「1軍に残れるように」「1日1日、1打席1打席が勝負」とがむしゃらにプレーしていた。最初は藤本監督が嘆くように、自虐的に放った「筑後ホークス」の言葉だったが、いつしか生き生きと躍動する若鷹たちを表す前向きなフレーズになっていた。

チームは苦しい時期を乗り越え、今月に入って柳田ら主力が続々と1軍復帰。代わって若鷹たちが2軍に戻っていった。藤本監督は「大変な時期に勝ち越せたのは彼らのおかげ。まだ残り試合でチャンスはある」と、最終盤での奮起に期待している。大きな経験を手にした若鷹たちは、今まで以上に目をギラつかせて鍛錬を積んでいるはずだ。【ソフトバンク担当 山本大地】

ソフトバンク野村大樹(2022年8月24日撮影)
ソフトバンク野村大樹(2022年8月24日撮影)