現役を退く男の言葉が、深く胸に残っている。西武与座海人投手は、8月に引退を決めた先輩・内海哲也投手からいわれたという。「僕や本田(圭佑)さんや、ファームの時間が長かったメンバーが、今年結果がついてきているところで『最後まで頑張ってやってくれたら下にいるメンバーも、頑張れば結果がついてくるっていう手本にもなるんだ』といっていただけた。自分のためでもありますし『これから1軍に上がってくる人の手本にもなれるよう頑張れ』と」。

与座は今季飛躍した。“希少種”の下手投げとして、2桁勝利を達成。9月11日の日本ハム戦後のお立ち台では、自然と涙がこぼれた。本田は先発経験を生かし、ロングリリーフもできる中継ぎとしてブルペンを支え、前半戦は防御率1点台をキープ。代役ながら球宴出場も果たした。そんな2人の活躍が、チームにもたらす影響は大きい。兼任コーチとして、より俯瞰(ふかん)して見る立場となった内海には、そう見えたのだろう。

特に「最後まで」という言葉の意味は大きく、シーズンを走りきってこそだということ。与座は「下の時間が長かったのでそういう思いも強い。今年頑張ってもっともっと勝って、そういう姿を見せていけたらと思います」。リーグは佳境。最後のひと踏ん張りが、選手もチームも強くする。【遊軍 栗田成芳】