選手の大型化が進むプロ野球界の中で、小柄な選手の奮闘ぶりが光る。球界最小164センチの高卒ルーキー西武滝沢を始め、167センチのヤクルト石川、中日谷元、オリックス福田、広島羽月らが存在感を発揮。阪神には160センチ台の選手はいないが、170センチ台前半の選手は9人在籍しており、174センチの2年目村上頌樹投手(24)もそのうちの1人。ブレークを目指し、2軍で鍛錬を積んでいる。

そんな村上は、熱血バレーボール青春漫画で、アニメ化もされている「ハイキュー!!」の登場人物のセリフに勇気づけられたという。身長169センチの星海光来(ほしうみ・こうらい)の名言で「小さい事はバレーボールに不利な要因であっても、不能の要因ではない」。村上は「言葉が心にグサッと来ました。自分にピッタリやと思って、めっちゃいい言葉でした」と目を輝かせた。最速149キロの右腕は「小さいから150キロ出ないかもしれないですけど、可能性はゼロではないですし、諦めてないです」と気合をにじませた。

村上は智弁学園(奈良)で3年時にエースとしてセンバツ初優勝に貢献。東洋大でも1年時から活躍し、20年ドラフト5位で阪神に入団。1年目の昨季はウエスタン・リーグで最多の10勝、防御率2・23、勝率9割9厘に加え、ビッグホープ賞など9冠に輝いた。2年目も同リーグで主に先発として15試合に登板し、7勝3敗、防御率3・07と健闘。ただ、1軍の先発ローテーションが分厚いこともあり、1軍戦登板のチャンスをつかめずにいる。

「小さくてもやれるということをみせていきたい。大きいものに勝っていきたい」

3年目の来季、虎の“小さな巨人”として激しい先発ローテ争いを勝ち抜き、活躍することに期待したい。【阪神担当 古財稜明】

阪神青柳晃洋、藤浪晋太郎らと談笑する村上頌樹(手前)
阪神青柳晃洋、藤浪晋太郎らと談笑する村上頌樹(手前)