パ・リーグ新人王を獲得した西武水上由伸投手(24)には将来、かなえたい目標がある。

今、背番号は「69」になる。「若い番号にできるならば?」と聞かれると、言葉に力を込めた。

「もし変えるのだったら、21以外はないですねぇ。(球団にも)21番以外は付けませんと言っています」

強いこだわりには、恩人への思いがある。

1年目はパ・リーグ新人記録(当時)となるデビューから17試合連続無失点。2年目の今季は新人王だけでなく、最優秀中継ぎ投手に輝き、球宴初出場も果たした。順調すぎるほどプロでステージを駆け上がる。しかし、振り返れば、四国学院大からのプロ入りは紙一重だった。育成ドラフトの5位指名。西武では最も低い順位だった。指名漏れでもおかしくなかった。

可能性を信じ、球団に推してくれたのが渡辺智男スカウトだった。だから強い恩義を抱いている。その人が現役時代に背負っていたのが「21」だった。

「僕をプロの世界にスカウトしてくださった渡辺智男スカウトが付けていた番号なので。智男さんに拾ってもらい、本当にギリギリで入れてもらった。すごく感謝しているんです」。

引退後はスカウトになりたいという「人生設計」を持つが、それも渡辺スカウトの影響が大きい。

ちなみに今の「69」にも理由がある。ヒップホップアーティストの「AK-69」が大好きで、それにあやかった。登場曲も「AK-69」の「IRON HORSE」。その歌詞には「地方馬がダービーを制す」とのフレーズがあるが、それも水上の生きざまを象徴しているようでもある。「69」にも強い愛着がある。だから「21」以外には、変更するつもりはない。

今、「21」は空いている。もともとは今季で引退した十亀剣スカウト(35)が付けていた。「大好き」という十亀スカウトにも何度も食事に連れて行ってもらった。世話になった人が背負ってきた番号。しっかり誇りを持って、受け継ぐために、結果を出し続けていく。【西武担当=上田悠太】

背番号「21」西武渡辺智男(1990年10月23日)
背番号「21」西武渡辺智男(1990年10月23日)