23日の広島戦、勝利のハイタッチを終えたDeNA山崎康晃投手(30)が向かったのは、エスコバーのもとだった。ベンチ前で優しく抱き寄せ、そっと声をかけた。長年、「勝利の方程式」を形成する2人だから分かる思いがある。試合後、山崎に思いを聞いた。

「慰めになるかわからないですけど、今日のことを引きずらないようにと思って。そんな言葉は多くなかったですけど、何か伝わってくれればいいなと思って、ああいうふうに表現しました」。

広島戦で最後をピシャリと締めたDeNA山崎康晃(2023年4月23日)
広島戦で最後をピシャリと締めたDeNA山崎康晃(2023年4月23日)

山崎は1点リードの9回を3者凡退で締め、6セーブ目をマーク。勝利を喜ぶ笑顔の裏で、一時逆転を許した7回、降板直後にベンチでグラブを投げ付けながら激高したエスコバーが気がかりだった。「彼がああいうふうに感情をあらわにする姿はなかなか見ないですし、みんなもびっくりしてたので、僕もそこは思うことがあって」。

広島対DeNA 7回裏広島無死、マクブルームに同点の左越え本塁打を浴びたエスコバー(2023年4月23日)
広島対DeNA 7回裏広島無死、マクブルームに同点の左越え本塁打を浴びたエスコバー(2023年4月23日)
広島対DeNA 7回裏広島1死二、三塁、降板したエスコバーはベンチで大荒れ(2023年4月23日)
広島対DeNA 7回裏広島1死二、三塁、降板したエスコバーはベンチで大荒れ(2023年4月23日)

話には続きがある。翌24日に横浜スタジアムで行われた投手指名練習、石田、今永、平良、浜口、ガゼルマンの先発組とは別に、エスコバーは休日返上で黙々とランニング、階段ダッシュなどを繰り返した。練習後、記者の前に止まって、自身の思いを語った。

エスコバー 昨日、ああいうことがあったんで、スタジアムに来て、キャッチボールをして、体をリフレッシュさせようと。野球はいい日もあれば、悪い日もある。悪い日の後はしっかり自分のルーティンとか、本来の調子を取り戻すことが大事なので、そういう意味でもこれから頑張っていきたいと思います。

真っすぐ記者の目を見つめながら、前向きに答えるエスコバーに、あの日の試合後に山崎が語った言葉とともに、抱擁した時の思いを聞いた。

エスコバー 僕自身もすごく感動したし、うれしかったし、彼のおかげで落ち着いた。ヤスもいつも気にしてくれてますし、ブルペン陣みんなでお互いを助け合うっていうのは、いつもやってくれてることなので、その行為の1つだったのかなと思います。シーズン長いので、お互い頑張っていこうという話をした。

投手キャプテンの山崎を中心に、DeNAのブルペン陣は「ファミリー」のように支え合いながら、助け合いながら、チームの勝利に貢献する。三浦監督も絶大な信頼を寄せる「勝利の方程式」。あの日の2人の抱擁に固い絆を感じた。【DeNA担当 久保賢吾】

エスコバー(左)と山崎康晃(2022年8月2日)
エスコバー(左)と山崎康晃(2022年8月2日)
エスコバー(右)から頭をなでられる山崎康晃(2020年7月30日)
エスコバー(右)から頭をなでられる山崎康晃(2020年7月30日)