中日高橋宏斗投手(21)がプロの壁と戦っている。今季は15試合に登板し、6月13日ロッテ戦でプロ初完封を成し遂げたものの、16試合3勝7敗、防御率2・67。昨季は登板間隔を空けながらも、19試合、6勝7敗、防御率2・47を刻んだ。2年目のブレークと比較すると後半戦に入った時点では物足りなさを感じる数字が並ぶ。

3月の侍ジャパンには最年少で選出され、優勝に貢献。竜のエース候補生として、大きな期待を背負う。29日巨人戦(東京ドーム)では5回8安打5失点。6月楽天戦を最後に5試合白星から遠ざかったままだ。「よーいドン(2回までに)で4点取られたので、そこでもう試合決まりました。しっかり修正しないと。今後はないと思います」。3年目の大きな壁に、右腕は危機感を募らせ、肩を落とした。

高校野球愛知大会の取材で高橋宏の恩師、中京大中京の高橋源一郎監督(43)と話す機会があった。「去年良かったけど、苦労していますね。あのマウンドでのしぐさを見ていると本人が一番歯がゆいと思っているんでしょうね」。テレビなどを通じて見ている教え子の苦闘を感じ取っていた。

恩師は教え子が壁を破ることも信じていた。「失敗を次につなげる、そこで止まる子じゃない。必ず糧にする。賢く貪欲な子なので期待しています。いまをどうしていくかが楽しみです」。オフには毎年、教え子と顔を合わせる。成長した姿での再会を楽しみにしていた。【中日担当=伊東大介】