試合前練習を同じ場所から見て変化を感じることもあれば、角度を変えながら見ることで変化を感じることもある。先日、フリー打撃を打者の正面の角度から見ていると、広島末包昇大外野手(27)の構えが、ある選手の姿が重なった。リラックスした構えから振り出す姿は、巨人長野とそっくりだった。

練習後本人に聞けば「最近すごく言われます。意識しているから似てきたのかもしれません」と笑った。

今季の打法はカブス鈴木直伝の「ギュウギュウのパンパン打法」に、新井良2軍打撃コーチから助言を受けた“脱力”を加えた形がベースにある。その中で投球をゆっくり見るイメージを会得したいと、昨季までチームメートだった先輩の構え方を取り入れたという。

使用するバットもシーズン中に変えた。長野本人から同じ型(34・5インチ、905~915グラム)のバットをもらい、メーカーに新調した。練習中にバットを天日干しする準備もまた、先輩の習慣と重なる。

19日の巨人戦で、約1カ月振りの3号を放つなど2長打をマークした。巨人戦安打は6月24日以来も、対戦相手となった先輩の目の前で記録した安打は初めてだった。翌20日も2戦連発の4号ソロ。ようやく結果で成長を示すことができたものの「4打席、立たないと」と返ってきた。それは“レギュラーを取れ”というメッセージと受け取った。

19日は7回表、20日は6回表の守備からベンチに退いた。4日巨人戦ではスタメン出場も、相手投手が左腕から右腕に代わった2打席目の5回に代打が送られたこともあった。「右から打つこともそうですし、4打席目ももらえるようにやっていきたい」。レギュラー取りへの課題は守備と、対戦打率1割5分8厘の右投手に対する打撃か。

大阪ガス時代は当時広島の鈴木を参考にてプロのスカウトの目に留まった。模倣からプロ入りのきっかけをつかんだだけに、長野流を取り入れた打法をレギュラー取りのきっかけとしたい。【広島担当 前原淳】