最速161キロを誇る剛腕が、虎視眈々(たんたん)と支配下登録を狙う。育成6年目の楽天清宮虎多朗投手(23)は、自身初の1軍キャンプを完走。練習試合、オープン戦でも結果を残し、今季実戦8試合で1失点、全試合で三振をマークするなどアピールを続けている。

最大の武器は直球だ。最速は145キロだった入団時から年々、スピードアップ。2年目の20年に150キロを計測し、翌年に右肘のトミー・ジョン手術を受けたが、復帰した22年に155キロ、そして、昨夏には161キロに到達した。

中日の守護神ライデル・マルティネス投手(27)を理想像とする。直球を軸に打者をねじ伏せる投球スタイルは自身と重なる部分がある。「イメージとしては、あんな圧倒的なピッチングができるような投手になりたいです」と清宮。昨季は2軍のクローザーとしてイースタン・リーグで22セーブを挙げ、最多セーブのタイトルを獲得した。ゆくゆくは1軍で最終回を任されるような存在を目指す。

投げるたびに安定感が増してきた。もともとコントロールに課題があり、今季実戦初登板の2月13日ロッテ戦(金武)で2四球。捕手が構えたところを大きく外れる場面が目立ったが、それ以降は制球が安定した。3月23日巨人戦(東京ドーム)で7試合ぶりに四球を与えたものの、8試合中6戦で無四球。対外試合を通して1軍打者を封じてきた成功体験が自信につながり、制球面にも好影響をもたらした。

また、経験豊富なチームメートのニック・ターリー投手(34)からの言葉にも勇気づけられた。「自信を持って投げろ」「お前の球はすごい」「とにかく相手を見下ろすような気持ちで投げろ」などとアドバイスされ、それも活力になった。清宮は「メンタル面でいろいろな助言をもらって、結構、それが今生きているのかなと思います」と感謝する。

リリーフ陣の中でも存在感を示し、今江敏晃監督(40)も「着実に、いい形でほんとに来てるんじゃないかなと思います」と評価する。現在は「135」を背負うが、2ケタ背番号を勝ち取り、1軍の戦力になる日はそう遠くなさそうだ。【楽天担当 山田愛斗】