<オリックス2-5ソフトバンク>◇31日◇京セラドーム大阪

ソフトバンクが敵地・大阪で王者オリックスとの開幕カードを2勝1敗と勝ち越した。振り返れば3戦ともにしびれる展開ではあった。カード勝ち越しを決めた小久保監督も「去年の王者ですから。すんなりは勝たしてくれません」と少しばかり疲労感を漂わせていたが、必勝形の手応えはつかんだのではないだろうか。

2つの白星では粘りを見せるオリックス打線に「新勝利の方程式」が機能した。7回に長短3連打で2点を勝ち越し。その裏から松本裕を投入。3月29日の開幕戦は7回2死二、三塁から西川を空振り三振に仕留めていた。3戦目のこの日は先頭西川にいきなり左翼線二塁打を打たれものの、セデーニョ、森、頓宮の中軸をきっちり抑え得点を許さなかった。直球は自己最速となる157キロもマーク。「打順からして、いろんな作戦はないだろうと。打者に集中して投げました」。必勝継投の先陣を切る松本裕の投球は最も重要。責任の大きさはプロ10年目を迎え「中継ぎ専任」として腹をくくった男だけに誰よりも感じ取っている。「初戦は回の途中からだったので、そんなに緊張はなかった。でも今日が初めて回の頭からの登板。こっちの方が緊張しましたね」。しっかり藤井-オスナにバトンをつなぎホッとした表情だった。

そんな松本裕の投球が勢いを呼び込んだのか、直後の8回には「新1、2番」も初めて機能した。1死から周東が四球を選ぶと、続く今宮の右翼線二塁打で一塁から周東が一気のホームイン。「全く止まるつもりもなかった。(三塁の)井出コーチも手を回していたので」と快足男はヘッドスライディングを見事に決め、ダメ押し点を挙げた。開幕2試合はノーヒット。焦りもあったのだろう。この日の2打席目には三塁前にセーフティーバントを決め、今季初ヒットを記録。「塁に出れば、こういうことがあるんですね」。周東は白い歯を見せて笑った。豪快なアーチも野球の魅力だが、この「速攻」にはオリックスに大きなインパクトを与えたはずだ。【佐竹英治】