心に、頭に、深く残っている「野村野球」をつないでいく。11日に84歳で亡くなった野村克也氏の教えが、池山2軍監督の基礎となっている。「1軍も2軍も、野球は変わらない。いかに準備をするか。何かにつけて、すべて準備。『野村野球』とは、準備だから」。日常生活から、前もって行動することが大事。朝、練習に行くための準備から野球につながっている。

1月、談笑する、左から野村克也さん、池山隆寛2軍監督、高津臣吾新監督
1月、談笑する、左から野村克也さん、池山隆寛2軍監督、高津臣吾新監督

特守を受ける選手の後ろに立ち「腰を落として。足を使うんだよ!」と明るく声をかける。基本的に指導は各担当コーチに任せているが、壁にぶつかったときは選手、コーチと、とことん話し合うことを意識する。野村氏のミーティングの第一声が「人の話をよく聞きなさい」だった。「仕事の3大要素は計画・実行・確認」。現役時代は疑問に感じていた内容も、今はよく分かる。ミーティングをまとめた「野村ノート」は、清書したものが3冊残っている。「読めば読むほど感じるものがある。改めて、身に染みます」。

指導者になってからも、成長し続けることを意識する。現役時代、野村監督の毎年の変化を肌で感じていた。「毎年2月1日のミーティングで、新しいことをおっしゃっていた。野村さんも勉強して、自分のノートに新たなことを書いていて、僕らによく説明してくれた」。時代も変化し、選手のタイプも違う。若手との接し方も意識している部分。「自分も成長しないといけない。選手とともに、成長していかないといけないと思う」と力を込める。

2軍は、育成としての個々のレベルアップと調整をする場。「成功の確率が上がるほど、自信になる。失敗も経験し、その中で成功の数を増やしてほしい」と話す。そのために欠かせないのは「考える野球」。1球、1プレーごとに思考回路を巡らせることは、野村氏の教えだ。自分で考え、動かなければ結果は得られない。厳しい世界だと知るからこそ、伝えたいことだ。「野村さんから『何を考えているんだ』とずっと言われ続けてきた。(自分も)そう言い続けるんだろうなと思う。考えることが多いほど、予測となって、体が動く」と明かした。

今季のチームは高津1軍監督を始め、野村氏の教えを受けている指導者が多い。「野村監督の偉大さ、残してくれたものが自分の中にある。今度は、僕らが後輩、選手たちに教えていければいいのかなと思う」。感謝の気持ちを胸に、選手のため、ヤクルトのため動く。(この項おわり)【保坂恭子】