智弁学園にサヨナラ負けした龍谷大平安の市岡奏(右)は原田英彦監督と話す(撮影・奥田泰也)
智弁学園にサヨナラ負けした龍谷大平安の市岡奏(右)は原田英彦監督と話す(撮影・奥田泰也)

 龍谷大平安(京都)が9回裏、逆転サヨナラ負けで散った。2年ぶりの決勝進出を逃し、春夏甲子園通算100勝目は夏に持ち越しになった。

 1-0で迎えた9回裏。エース市岡奏馬投手(3年)が先頭打者を三振に仕留め1死。しかしここから4連打を許しサヨナラ負けした。

 原田英彦監督は「いっぱい、いっぱいでした。選手はよくやった、本当に。市岡もよくここまで投げてくれました」と選手の健闘を称えた。

 1回戦で難敵の明徳義塾に7-1で快勝。2回戦ではこれまた甲子園常連の八戸学院光星(青森)に2-0で勝利。準々決勝では明石商(兵庫)を延長12回サヨナラで破って準決勝に進んだ。この日の智弁学園戦も含め4試合すべて同じ「9人」で戦い抜いた。一部打順の変更はあったものの、一度も選手交代なし。市岡も4試合すべて完投した。準決勝に進出した4校の中で、9人の選手しか使わなかったのは龍谷大平安だけだ。

 試合前、原田監督はこう話していた。

 「レギュラー9人と控え選手の差がある。疲れはあります。でもこの9人で勝つ。今日は根性野球です」。

 2年前に優勝したチームとは「力が違います。選手層の厚さが違います」とも話していた。それだけに、今春の4強入りは原田監督にとっては嬉しい誤算でもあった。

 「言葉は悪いですが、このメンバーはたたき上げですから。市岡なんて、ほとんどの方を(良い意味で)裏切ったと思います。みんな心が強く、大きくなった」。

 エース市岡は中指にできたマメの痛みをこらえながらの奮闘だった。「悔しさと申し訳なさ。打たれない、もっと良いピッチャーになって甲子園に戻ってきたい」と話した。

 あと1勝に迫っていた甲子園100勝は夏へ持ち越しとなった。

 「100勝したかったですね。夏にこのチームで、この子らが100勝してくれればいい。一つになってより強いチームを作りたい。選手の層を厚くしたいですね。ピッチャーの2枚目、3枚目も必要。いや夏は4枚いります」。

 原田監督の帽子のつばの裏には「気 88センバツ」とマジックで書かれていた。「9人根性野球」でベスト4。今春の龍谷大平安の戦いが終わった。

龍谷大平安先発の市岡奏馬(撮影・奥田泰也)
龍谷大平安先発の市岡奏馬(撮影・奥田泰也)
智弁学園に負け応援団にあいさつに向かう龍谷大平安の選手(撮影・奥田泰也)
智弁学園に負け応援団にあいさつに向かう龍谷大平安の選手(撮影・奥田泰也)