セ・リーグの投手が勝負強い打撃を見せている。25日現在、セ・リーグ投手の打撃成績は254打数35安打、打率1割3分8厘。この数字だけでは例年と差がないように見えるが、20年が1割1厘、21年が1割2分9厘の得点圏打率は2割1分5厘へアップ。昨年、セ・リーグ投手が打った肩書付きの殊勲安打は先制3本、同点5本、勝ち越し5本の合計13本。今季は開幕から1カ月で7本あり、昨年は1本もなかった逆転打が3本出ている。

最近3年間のセ・リーグ投手の打撃成績(左)、今季満塁で打席に立ったセの投手(右)
最近3年間のセ・リーグ投手の打撃成績(左)、今季満塁で打席に立ったセの投手(右)

満塁ではさらに打率が跳ね上がり、13打数6安打で打率4割6分2厘。4月7日にはプロ2年目の高橋宏(中日)が満塁で逆転の2点適時打を放ち、プロ初勝利をマーク。自らのV打でプロ初勝利を挙げたのは16年5月1日原樹(ヤクルト)以来だった。同9日には森下(広島)が走者一掃の三塁打を記録するなど、セ・リーグ投手が満塁で打った安打は、早くも昨年の4本を上回った。セ・リーグ野手は満塁で打率3割8厘だから、満塁では野手よりも投手の方が高打率を残している。

阪神対広島 3回表広島2死満塁、走者一掃の中越え適時三塁打を放つ森下(2022年4月9日撮影)
阪神対広島 3回表広島2死満塁、走者一掃の中越え適時三塁打を放つ森下(2022年4月9日撮影)

打撃好調な投手が多い中、注目したいのが森下だ。今季初登板だった3月26日DeNA戦で適時打2本を含む3安打を放ち、4月9日阪神戦では4打点。ここまで5試合に登板して7打点を挙げている。投手にとって、7打点はどんな数字なのだろうか。年度ごとに「投手の打点王」を調べてみた。昨年は小川(ヤクルト)ら5人の3打点が最多で、20年は西勇(阪神)の7打点。00年以降に2桁打点は17年に12打点のウィーランド(DeNA)しかおらず、二刀流の大谷(日本ハム)も投手で登板した試合だけではシーズン10打点を記録していない。

記録室から 2000年以降、投手の打点王
記録室から 2000年以降、投手の打点王

00年以降、7打点以下で打点王のシーズンが17度もあり、森下の7打点はすでに立派な記録だが、ぜひ10打点を狙ってもらいたい。日本人投手の2桁打点は、98年に11打点を挙げた石井一(ヤクルト)が最後。24年ぶりに2桁へ乗せられるか、森下の打撃を楽しみにしたい。

【記録室】