エエなあ-。そうつぶやいてしまったのはサッカーW杯、1次リーグのスペイン戦に勝利を収めた後、堂安律選手が勝利インタビューを受けていたときです。

「おもっきし、思い切り…」。力を込めるという表現として関西で使う「おもきし」「おもっきし」が出てしまいました。

インタビューということで同選手も言い換えたようですが思わず口をついた言葉が本人の熱い気持ちを表しているようで頼もしく感じました。

同選手は兵庫・尼崎市の出身。尼崎出身のスポーツ選手といえば虎党からすれば何と言っても村山実、江夏豊の両氏ですが、いまは堂安選手かもしれません。

ときどきクルマに乗って前を通る同選手の母校・向陽台高(大阪・茨木)の校舎にも同選手の名前を記した大きな垂れ幕がかかっています。いかにも「地元の星」という感じです。

サッカーにくわしくない人でも興奮するスペイン撃破。ドイツに続いて強豪国相手に2勝しての1次リーグ突破は間違いなく日本国民を興奮させる出来事でしょう。

独断と偏見ですが、そんなヒーローが普通に関西弁を話すのがうれしい。もっと言えば今回の代表は関西にゆかりのある選手が多いこともあります。

ドイツ・フライブルク所属の堂安選手を始め、大阪・泉佐野市出身の南野拓実選手(モナコ)、同・高槻市出身の守田英正選手(スポルティング)、同・太子町出身の前田大然選手(セルティック)。さらに愛媛出身ですが高校は京都の東山高出身の鎌田大地選手(フランクフルト)と顔をそろえています。

「野球どころ」として知られる関西、もちろん日本サッカー界のレジェンドである釜本邦茂氏(京都出身)や神戸出身の香川真司氏らの存在はありますが、どちらかと言えばサッカーは静岡から東というイメージがあった気がします。

それが今は、そんな“関西人”のサッカー選手が世界を相手に暴れまくる現状、大阪のおっさんとしては楽しいとしか言いようがありません。

そして関西と言えば、やっぱり阪神でしょう。前日、期待の佐藤輝明選手が3年目の来季へ4300万円増の8500万円で契約更改しました。入団3年目の年俸としては藤浪晋太郎投手に並ぶ「球団史上最高額」だそう。

大阪出身の藤浪は現在、ポスティング制度での大リーグ挑戦を目指しています。関西から大リーグへという流れは野茂英雄氏らの時代から、もうおなじみでしょう。

気が早い話ですが、ひょっとして兵庫・西宮出身の佐藤輝選手も将来、そういう話になるのかもしれません。それでも、まずは来季の目標とする30本塁打、100打点をマークし、このオフに就任した岡田彰布監督で有名になった「アレ(優勝)」に貢献することが先でしょう。

もちろん関西勢が活躍するサッカー日本代表の目標も「アレ」のはず。阪神は目指す「アレ」とは同じ「アレ」でも「アレ」が違いますが、そこはそれ、サッカー界で活躍する関西出身選手に負けない輝きを佐藤輝に期待します。【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)

1日、契約を更改した佐藤輝は、色紙に来季は「アレ」と記してZポーズ(撮影・加藤哉)
1日、契約を更改した佐藤輝は、色紙に来季は「アレ」と記してZポーズ(撮影・加藤哉)