<みやざきフェニックス・リーグ:ソフトバンク5-4楽天>◇16日◇アイビー

楽天の安田悠馬捕手(23)のプレーが精彩を欠き、見ていて非常に残念に感じた。

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楽天は先日、炭谷の戦力外を公表した。これは球団として非常に大きな決断と言える。来季の正捕手候補がチームを去るということだ。となれば、安田に求められる責任はより一層大きく、深くなる。

この日、私が見た安田のプレーからはそうした責任感に向き合おうという意識は、残念ながら感じられなかった。

初回1死一、二塁で、安田は先発投手のフォークを後ろにそらした。安田の右側へのフォークを捕球できず、体で止めることもできなかった。ボールは右斜め後方へ転がる。

アイビーのファウルグラウンドは広い。そのアイビーをキャンプで使っているソフトバンクの走者は、状況判断も良く、何より準備ができていた。

二塁走者は三塁を回りながら加速してそのまま一気にホームにかえってきた。むろん、一塁走者も三塁に達していた。

シーズンを通して戦っていれば、たまに暴投で二塁走者が一気に生還することはある。あるにはあるが、捕手の立場から言わせてもらえれば、屈辱的なことだ。

暴投で一塁から三塁まで進まれてしまうケースと、二塁からホームに生還されてしまうケースを比較して考えてもらえれば分かると思う。後ろにそらしたボールを取って、三塁まで投げるのと、ホームに投げるのでは距離が違う。

つまり、それだけ二塁走者からすれば、三塁を回ってホームに突入するにはある程度の確信がなければできないプレーだ。あえて厳しく指摘するなら、安田のプレーは二塁走者にホームにかえれる確信を与えてしまっていた。

私が見る限り、後ろにそらした後の安田の動きは機敏とは言えなかった。二塁走者の足を警戒していれば「ここは絶対にホームにはかえしてはならない」、そういうボールの追い方をしなければいけない状況だった。

残念ながら緩慢に見えたその動きで先制を許し、さらに1死三塁と傷口は広がった。この後、タイムリーを打たれて2点目。さらに左打者を迎えた場面で一塁走者に盗塁を決められているが、ここでも走者の動きが見えていないのでは? という捕球後の動きに見えた。

選手にはその日によって調子の良し悪しもある。コンディショニング不良ということもある。それでもチーム事情で試合に出ることも、プロとしては引き受けなければならない。

この日の安田の好不調についての情報は把握していないが、少なくとも先発マスクをかぶった以上、全力プレーは大前提の話しだ。私はバッティングに非凡なものを備えた安田のプレーには昨春のキャンプから注目してきた。

それだけに、すぐに反応すること、フォークをそらした時に走者の足を頭に入れて機敏に処理に動くこと、盗塁があるかもしれないと常に走者を視野に入れておくことなどは、プロの捕手としては必須のこととして、どんな状況においても確実に履行してもらいたい。

冒頭で触れたように、楽天は炭谷という捕手の中では中心的なベテランを失ったことになる。言わなくても分かるように、安田には大きな期待がかかる。チャンスが目の前にある。そのチャンスに手をかけるには、それと同等の、いやそれ以上の責任を引き受けてマスクをかぶる覚悟が必要になる。

みやざきフェニックス・リーグでこそ、安田のそういう気概を感じるプレーを見たかった。重ねて言うが、暴投で二塁から生還されることは、捕手として何としてでも防がなければならないことだ。

暴投した時こそ、何とかして止める、それが捕手としてのひとつの体を張る見せ場だということを、この日をきっかけに心に刻んでもらいたい。(日刊スポーツ評論家)