高校野球京都大会は25日、準決勝が行われ、立命館宇治が延長10回の末、京都国際を下し3年ぶりの決勝進出を果たした。

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 立命館宇治(京都)を率いる里井祥吾監督(35)は二足のわらじを履く。一足は高校野球の指導者、もう一足はパン職人だ。指導者の傍ら、昼間は京都市内の実家で営む創業60年のベーカリーショップで働く。

 高校時代は鳥羽(京都)で一塁手兼三塁手としてプレー。3番打者を務め、00年春にはセンバツでベスト4にも進出した。立命大を卒業後、鳥羽の恩師に誘われる形で立命館宇治のコーチに就き、15年夏の大会後から監督に昇格した。

 家業に、野球に、長い1日を送る日々。パン職人の朝は早い。調理場に立つのは早朝4時。昼すぎまで勤務後、車でグラウンドに移動し、夜まで選手の指導に励む。「昔からなので忙しいなんて言っていられません。選手が結果を出すところを見るのは楽しいです」と笑う。多忙な息子の姿に、父伸市さんは「両方全力投球で大変そう。よく頑張っていると思います」と話す。里井監督の兄と弟も飲食業に就いている。日本新薬の本社近くにある店には、龍谷大平安の原田英彦監督(58)が社会人時代に訪れたこともあるという。

 就任後着実に力を付け、この夏は決勝に進出。相手は龍谷大平安だ。「全力でぶつかります」と里井監督。野球以外の不思議な縁で結ばれた2人が、京都代表の座を懸けて戦う。【望月千草】