首都大学リーグの筑波大のプロ注目左腕、佐藤隼輔投手(3年=仙台)が、今季初の対外試合で圧巻の投球をみせた。9日、茨城・常総市内で東洋大とオープン戦を行い、5回を64球、内野安打1本のみの5奪三振で無失点に抑えた。

11球団18人のスカウトが熱視線を送る前で、球速は自己最速の151キロに迫る150キロをマーク。「スカウトの方もいらっしゃって、緊張した。(リーグ戦と同じような)こういう雰囲気を味わえたことが大きかった。今日は良かったと思う」とうなずいた。

球威のある直球とスライダー、チェンジアップの3球種で抑え込んだ。特にこの冬の課題として取り組んでいたチェンジアップには、手応え十分。19年に日米大学野球の日本代表に選出された際、明大・森下暢仁投手(現広島)、早大・早川隆久投手(現楽天)ら先輩たちとチェンジアップの握りが話題になった。その時に聞いた握り方に挑戦。今までは引っかけてしまい打者に見逃されることが多かったが、この日は空振りを奪った。「右打者の外角へ落とせることで、投球の幅が広がった。修正できたことは、この冬の成果だと思う」と納得の表情だった。

3月11日に、東日本大震災から10年を迎える。10年前は小学5年生で、仙台市内で被災。断水や停電も経験した。節目の年は、ドラフト候補として迎える年でもある。「今年は節目の年だと思う。自分が活躍することで影響なんてないと思うけど、東北出身として、思いを背負って戦いたいと思います」と力を込めた。

今秋ドラフトで1位指名が実現すれば、96年にオリックスから指名された筑波大・杉本友以来、史上2人目の国立大出身のドラ1誕生となる。地元に、明るいニュースを届ける。【保坂恭子】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

◆視察したスカウトのコメント

▽楽天後関昌彦スカウト部長「この時期で、上出来。特にチェンジアップがよかった。スピードもあるし、これからもっと良くなるだろう」

▽日本ハム多田野数人スカウト「いつ開幕してもおかしくないくらいの仕上がり。制球がよく、変化球の曲がりに、直球もいい」

▽オリックス・牧田勝吾編成部副部長「体の軸がブレずに、ボールに力がしっかり伝わっている。スケールが大きく、これからどうなるのか楽しみ」

▽阪神・平塚克洋スカウト「素晴らしい。投げっぷりがよく、体もすごくいい」

オープン戦 東洋大対筑波大 ベンチで笑顔を見せる筑波大・佐藤隼投手(右端)(撮影・保坂恭子)
オープン戦 東洋大対筑波大 ベンチで笑顔を見せる筑波大・佐藤隼投手(右端)(撮影・保坂恭子)