神戸学院大付が今秋、快進撃を続けた。16年の校舎移転とともに軟式から硬式に変わった野球部は、秋季兵庫大会初戦で今夏の県大会準優勝校の関西学院相手に14安打と打線が圧倒。4安打2打点で引っ張ったのは、4番に座る新主将の峯松倖生捕手(1年)だった。

チームは秋季県大会初勝利の勢いそのままに、創部初の県準優勝を飾った。近畿大会初戦では市和歌山に1-2と惜敗したが、安打数は相手を上回る7本。連打こそ出なかったが、秋の和歌山王者を苦しめた。この試合でも峯松は最速148キロ右腕の米田天翼投手(2年)からマルチ安打。捕手としては小林大雅投手(2年)、沖津泰雅内野手(2年)をリード。盗塁を2つ刺すなど接戦に持ち込んだ。

試合後、峯松は「個人としてはめちゃくちゃ速いな、打てないなというほどの速さじゃなかった」と一定の手応えも実感。それでも主将として「速い真っすぐを打ち返せなかった。名前が知られている速球派の投手に対して、自分らのバッティングが甘かった」とチームを振り返った。

2年生ではなく、1年生が異例の主将を務めている。任命した岩上昌由監督(45)は「やることが多いので本当に大変だと思う。キャプテンでキャッチャーで4番ですから」と話す。それでも香川西(現・四国学院大香川西)の監督として甲子園経験のある岩上監督が「1年間で4、5人キャプテンを変えた年もあったり、投票で決めたこともあるし、私が指示したこともある。今年は迷わずです」と初めて1年生での主将を峯松に託した。指揮官は任命の理由をこう語る。

「強いリーダーシップがあるタイプではないんですけど、きっちり自分のやるべきことをやった上で、いろんなことに目配りができる。相手の心情を察する能力がたけているので同級生上級生変わらず、ポイントになる言葉をかけることができる」

指名を受けた峯松も「正直びっくりした。選ばれた以上は自分が引っ張っていくしかないと思ったし、上級生にもいろいろ支えてもらったり、いろいろアドバイスをもらったりする部分もあるのでとてもやりやすい」と自覚はたっぷりだ。

近畿大会の初勝利は逃したが、気持ちは冬へ切り替えた。「いつもと一緒じゃだめ。冬は自分らの技術を上げて、夏に勝負できるようにしたい」。強豪ひしめく兵庫県から初の甲子園出場へ。創部6年目のチームを1年生主将が引っ張る。【林亮佑】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)