低反発となった新基準の金属バットはどのような影響を与えるか。本当に野球は変わるのか。注目が集まる春の戦いとなる。

練習試合などを通して感じたことを監督や選手に問いかけるとさまざまな影響が出ているようだ。広く意見が一致したのは「飛ばない」こと。これは狙い通りである。ただ、そのほかにも出ている影響が見えてきた。

守備での影響を危惧したのは宇治山田商の村田治樹監督(53)だ。「メーカーによっては甲高い音でもそんなに飛んでいないことがある。音で惑わされる部分があるのでそこへの対応は必要」と内野と外野の間に落ちる安打が多くなることを心配した。

ポテンヒットが多くなると実感するのは選手も同じ。報徳学園の間木歩投手(3年)は「長打が減るのはありがたいこと」としながらも「その分、内野と外野の間に落ちるヒットは増えた印象がある。打ち取ってヒットというのは一番ダメージが大きい。そこはどう対処するか考えていきたい」と思案顔。思わぬ安打に投手が肩を落とすシーンも増えるかもしれない。攻守それぞれの見方によってラッキー、アンラッキーが変わるが、恩恵を受けるとされる投手にもマイナスの面は存在した。

一方で変わらない部分もある。報徳学園の大角健二監督(43)は「飛んでる打球もあるので、ちゃんと芯で捉えれば飛ぶ。正しく振っている子はちゃんと飛ばす」とこれまで通り芯に当てれば打球は飛ぶと実感。低反発バットになったことの産物として「基本に忠実が徹底されるようになった。逆に個人の能力が上がってると思います」と好結果も招いた。

高校卒業後もプロや大学、社会人などで野球を続ける選手にとってはプラスだ。高知の浜口佳久監督(48)は「バットの変更は苦労はしてますが将来性においては非常にプラスな変更だったんじゃないかとすごく感じています」と前向き。金属から木製に変わる際のギャップが減るようだ。

道具を使うスポーツだからこそ、道具の規格が変われば対応も必要になる。完全移行は今春から。試行錯誤はこの先も続いていきそうだ。【遊軍=林亮佑】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)