交流戦は千葉からのスタートだ。ロッテの広報メディア室長・梶原紀章はかつて同業他紙で虎番記者をしていた。面識があるのは当然、大学の後輩でもあり、こちらを見ると「先輩」と立ててくれる。調子に乗って「お菓子」と言うとすぐに持ってきてくれる。もちろんロッテ製品だ。

その梶原が試合前、猛虎の指揮官・矢野燿大に「すみません」と謝っていた。虎番記者の記事にもあるがロッテの交流戦名物・挑発ポスターで矢野を“口撃”していたからだ。シャレの分かる矢野はもちろん笑って許した。

貯金生活の現在、矢野の表情も柔らかい。この日の練習前にはベテランを中心にした記者たちと“ミーティング”を行った。何の話し合いか。ズバリ「次のCMターゲット」についてだった。

先日、矢野の「551発言」が話題になった。このコラムでも書いた。高山俊の劇的サヨナラ満塁弾で勝った5月29日巨人戦(甲子園)の後、「551の蓬莱(ほうらい)や! あるときないときばっかりやって。551のCMできるんちゃう?」などと話したことに端を発する。

好機で沸いて、それを失って落ち込むベンチの様子について「あれをテレビ画面で抜いてたら、そのまま551の『あるとき-。ないとき-』のCMになるなと思って」と説明した。すると「551蓬■(ほうらい)」から豚まんのチケットが球団に届き、こちらもお裾分けをもらった。

この日の試合前に行われたミーティングはそれに続く“第2弾”を考えようというものだった。ズバリはまれば、新聞の見出しにもなるし、ひょっとして商品も送られてくるかもしれない。そうなれば裏方さんや虎番記者連中も喜ぶというわけだ。

「みんなは何が欲しい?」。冗談交じりに話して矢野は笑っていた。しかし、そう言われるとなかなか出てこないもの。そんなとき矢野自身が出したアイデアはシンプルなこれだった。

「やめられない、とまらない」

ご存じ「カルビーかっぱえびせん」だ。好調が続くブルペン陣、そしていいところで本塁打が出る打線の流れ。安打1本でもガッツポーズで喜びを示すナイン。そして言うまでもなく復活・原口文仁の姿だ。交流戦、阪神が勝っていれば、あれもこれも「やめられない、とまらない」。(敬称略)

※■は草カンムリに来の旧字体

5回表阪神1死、勝ち越しの右越え本塁打を放ち、矢野監督(右)に迎えられ笑顔を見せる梅野(撮影・前田充)
5回表阪神1死、勝ち越しの右越え本塁打を放ち、矢野監督(右)に迎えられ笑顔を見せる梅野(撮影・前田充)