先発チェンが4回にKOされ、ブルペン陣も加点された。ルーキー佐藤輝明の1発を含めて打線は6得点をもぎとったものの届かない。両軍合わせて実に14投手が登板する乱打戦に敗れ、阪神は12球団ラストで10敗目を喫した。それでも「なんだか悪くないなあ…」と思っている。

プロ野球のチーム、監督には2つの大きな仕事がある。1つは当然、勝つことだ。もう1つはいわゆるマネジメントというか戦力をフルにうまく使うことだろう。もちろん後者ができなければ前者もないのだが、これが難しい。

ロハス、アルカンタラという新加入で1軍に登場していない選手が阪神にはいる。ハッキリ書くが球団が新しく獲得した助っ人を使わないことはあり得ない。使ってダメなら仕方がないが新たな投資をしているのに最初から「現状で十分なので起用しません」というわけにはいかないのだ。

これが難題だ。開幕から好調の阪神。コロナ禍でキャンプ不参加はもちろん、合流が遅れた2人を昇格させる時期は指揮官・矢野燿大でなくても頭の痛いところだったはず。好調なメンバー、並びを代える必要はないからだ。

しかし、この日、チェンが打たれて登録抹消。まずロハスの昇格が決まった。仮にチェンがこの日抑えていてもどういう結果になったかは分からないが、とりあえずはスムーズな移行と言えるだろう。

「どうしても(外国人)枠があるから。ちょっとここで見てみようかな、と」。矢野は虎番キャップの取材に対し、率直に話したようだ。ロハスを試し、状況次第で次にアルカンタラの昇格になるはずだ。

サンズが少々お疲れ気味という要素もある。大山悠輔も登録抹消された。大山がずっと好調なら「4番・三塁 佐藤輝明」という夢のある状況も生まれていない。もちろん大山が長期間離脱するのは避けたいけれど、それによって佐藤輝の豪快な起用が無理なくできる状況が生まれている。

逆に言えば同じ顔ぶれで年間を戦うのが厳しい現代のペナントレースにあって、主力級が外れてもメンバーを代えながらさほどレベルを落とさずに戦える強みがある状況と言える。もちろんロハスが1軍でどれだけやるかは未知数だが。

そして巨人は東京ドームで逆転負け。得意の横浜で完敗したが「流れ」は阪神にある、と見た。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)