とらえ方が難しい試合になった。先制しながら西勇輝が4回までに2ラン2発を浴び、2登板続けて4失点。負けていればいやな感じだったところを適時打などでコツコツ返し、結局、引き分けに終わった。

2位の巨人が勝ったことを考えても悪くない引き分けという見方はできる。それでも…と感じてしまうのは「外国人野手3人制」にあるのかもしれない。これで8日DeNA戦(横浜)に続き、2試合で1勝1分けとなった。

左から阪神ロハス、マルテ、サンズ
左から阪神ロハス、マルテ、サンズ

今季新加入のロハスは2試合でまだ無安打。それでも動きは悪くない。2回に遊ゴロで一塁まで全力で走っていたし、4回に右打ちの二ゴロで走者をかえしたのも評価できる。鳴り物入りでの入団だがマルテ、サンズ同様にかつての助っ人にあった“ナメた”ようなムードはまったくない。

「自分たちと同じ野球観を持っていると思う」。これは8日の試合を終えた後で指揮官・矢野燿大がロハスについて言った言葉だ。その通り一生懸命さは伝わっている。それでも助っ人野手3人の同時起用はやはり気になってしまう。

「阪神が強い」状況は今季だけではないだろう。近本光司、糸原健斗、大山悠輔、梅野隆太郎といった脂の乗った主力に加え、佐藤輝明、中野拓夢と若い力も入ってきた。もしも今季、優勝できれば連覇、3連覇も夢ではないと思う。

だからこそ次代の若手を育てることは重要だ。現在のレギュラーメンバーが年齢とともに衰え、それに従って勝てない時期が到来してしまうのは避けたい。勝ち続けるのは至難の業だし、育成が重要なのは阪神に限った話ではないとしても、だ。

この試合、終盤の盗塁攻めは見事だった。原口文仁の代打ヒットから代走要員を起用しての攻めは見ていて面白い。こういう野球が本来、矢野の目指すところなのだろう。

7回裏阪神2死、代打原口は遊内野安打を放つ(撮影・上山淳一)
7回裏阪神2死、代打原口は遊内野安打を放つ(撮影・上山淳一)

そんな中、ベンチメンバーで言えば陽川尚将、木浪聖也といったところに出番はなかった。ファームにも小幡竜平ら使いたい選手はいるはず。外国人3人だとそれが厳しくなる。

もちろん、まだ2試合だ。現在の体制を続けるのか誰かを外すのかという選択はこれからのことだろう。それを承知の上で好調なときに若手を試すのは大きな意味があると言いたい。ここまでしっかり戦っている今季の阪神。勝利同様にその部分も期待したい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)