潮目が変わるきっかけにならなければいいが…と少々、不安になる試合だ。6回以降に10失点を喫して逆転負け。ブルペンの一角・小林慶祐が負傷するアクシデントまで起こった。

うまくいかないときはどの球団でもこんなもの…とも思うが、なぜかはまっている“オセロ理論”であらかじめ負けが決められていたような結果だ。

目立った敗因は1点を追う展開になっていた7回だろう。2番手・小林が先頭打者に四球を出す。ここで次打者・川島慶三のゴロを大山悠輔が失策。そこからピンチが広がり、小林の負傷、中野拓夢の適時失策まで出た。結局、この回は無安打で2点を許してしまう。

だが“何か”が起こる気配は開始直後から続いていた。1回、近本光司が安打で出たが盗塁死。2回にも先頭サンズが中前打で出て、相手失策もあったが無得点。5回にも先頭打者が出ながら無得点に終わっていた。結果的に先発マルティネスから6回まで9安打を放ちながら交流戦不調だったマルテがマークした2ランによる2得点だけ。

2点リードの5回には先頭・近本が内野安打で出て北條が犠打で送る理想的な状況をつくりながら近本がバッテリーにおびき出されて二、三塁間で挟殺された(記録は盗塁死)。次打者は前の打席本塁打のマルテ。マルティネスにタイミングが合うのか好機がついえたここでも安打を放つチグハグさが見えてしまった。

そんな「拙攻」がルーキー伊藤将司の逆転被弾、さらに守備のミスにつながったのか。“負の連鎖”としか言いようがない。「諦めない野球」を掲げている指揮官・矢野燿大も8回、サンズや梅野隆太郎に代打を出し、ある意味、メリハリを見せた采配で負け試合を受け入れるしかなかった。

「みんな、めっちゃ調子がいいという状態とは違う中でやっているから…」。交流戦に入ってから矢野はそういう感想を続けている印象だ。「勝利の方程式」の重要なピースだった岩崎優を欠くなど、おそらく言葉以上に苦しさを感じているのだろう。

交流戦は借金1に逆戻りだが数字以上に負け方を考えればソフトバンクとの最終戦がきわめて重要になった。ここに来てオセロ理論が崩れて連敗となれば、イヤな感じだ。気持ちを切り替え、6日の試合に限ってはオセロの流れを死守しなければならない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)