「インケツ合戦」の勝者はどっち? という感じか。ギャンブルに語源があるそうであまり品のよくない言葉とされる「インケツ」という言葉、関西人、特に古い人間は結構、使う。ついてない。運に見放されている。「あいつ、インケツや」みたいな感じだ。

中日対阪神 8回裏中日、逆転を許し降板となった湯浅(左)を見る矢野監督(撮影・前岡正明)
中日対阪神 8回裏中日、逆転を許し降板となった湯浅(左)を見る矢野監督(撮影・前岡正明)

そして阪神である。これぞインケツという試合だった。やることなすこと、ホンマにもう-。今季初のバンテリンドーム。相手先発が大野雄大ということで「これは期待薄」という虎党も多かっただろう。

ところが主砲・佐藤輝明がその大野雄から6回に先制3号ソロ。先発は今季唯一の白星投手・西勇輝で、この日も好投だった。これは勝てるか。そう思えたが、今の阪神、そうはいかない。新たな「勝利の方程式」に期待される湯浅京己が8回につかまった。

インケツと言いたくなるのはその展開。例えば佐藤輝が放ったアーチの直前だ。2番・山本泰寛が遊撃・京田陽太の一塁悪送球で無死一塁。ここで3番に入っていた近本光司は二ゴロだ。さすがに併殺はない-と思ったらピボットプレーの京田からの送球がそれ、これは願ってもない形だ。

一塁を駆け抜けていた近本だがこれで猛然と二塁へ向かう。ところがカバーした強肩捕手・木下拓哉が二塁へ送球、アウト。結局“併殺”になってしまった。その後で出た1発に「走者が残っていれば…」と思った人も多いだろう。

守っても7回は1死一、二塁のピンチ。だが二直で二塁走者が飛び出しての併殺完成。西勇は大喜びしたし「流れが来た」と思っても誰も責められない。湯浅が打たれての逆転負けという結果を受ければ「西勇にもう1イニング…」という思いも出るが、108球、毎回安打も浴びていたし、いっぱいいっぱいだろう。

運もないし、課題も多いし…という状況だけれど、とにかくもっと得点しないと勝てないとは思う。ここ3試合で1点、0点、そして1点。15試合を終えて阪神打線の総得点は「39」。リーグ・ワーストだ。

そして。13日、中日の先発・勝野昌慶が問題だ。この勝野、昨年4月28日に白星をマークしてから登板14試合連続で勝てていない。力がなければチャンスはもらえないはず。それだけ起用されながら勝てていないのもなかなかなのだ。そんな両者の対決がどう出るか。ちなみに勝野が最後に勝った相手は阪神だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

中日対阪神 8回裏中日1死二塁、湯浅は阿部に中前同点適時打を浴び、悔しげな表情を見せる(撮影・加藤哉)
中日対阪神 8回裏中日1死二塁、湯浅は阿部に中前同点適時打を浴び、悔しげな表情を見せる(撮影・加藤哉)