打たんな。しかし。ブツブツ言いながら試合を見ていた虎党も多いだろう。ソフトバンク先発レイの前に沈黙した阪神打線。初安打は4回、島田海吏のセーフティーバントだ。ここで盗塁も決め、少し気配が出た。しかし、その後に中野拓夢、近本光司が連続の投ゴロ。いずれも走者が刺され、二塁走者が入れ替わるだけというめずらしい展開で無得点に終わった。

打てないときは打てないし、選手もベンチも、お手上げという状態もあるだろう。とはいえ島田がお手本というかヒントになるバント安打を決めているのだし、中野も近本も、あるいは高寺望夢もレイを揺さぶるような攻撃をもっとしていけば…と思ったのは難しい注文だろうか。

このカード初戦に2-0で勝ったときに「阪神にツキがあった試合」と書いたが、やはりそういうものは長く続かない。打てないのもそうだがチームから覇気が感じられない連敗となってしまった。

これで交流戦は15試合を戦って9勝6敗。ラストのオリックス3連戦を残し、まだ“優勝”の可能性は残している。しかし考えたくはないがオリックスに3連敗すれば9勝9敗の5割で終えるおそれもあるのだ。セ・リーグ最下位の阪神が交流戦5割なら、他の5球団を喜ばせるだけだ。

だからこそ当然ながら、まずは連敗を止めることが重要だ。1つ勝てば交流戦勝ち越しが決まる。しかし簡単ではない。関西対決のオリックス戦は苦手の部類だ。指揮官・矢野燿大が率いた過去2度の対戦でも6試合で1勝4敗1分けと負け越している。

おまけにオリックスが立ててくる投手は難敵だ。まず10日は左腕・山崎福也、11日は日本を代表する右腕の山本由伸が先発予定だ。そして交流戦最後の12日はこれも好投手の左腕・宮城大弥。いずれも簡単ではない相手というか、相当、苦しいのは事実だ。

まずは10日の山崎を攻略し、連敗を止め、そして交流戦の勝ち越しを決めることだ。そのために佐藤輝明、大山悠輔の奮起はもちろん、足を使って攻める「超積極的野球」が必須なのは言うまでもない。

「オリックスは投手がいいんでね。競った試合になると思うんで」。矢野自身もこの日、そう言ったようだ。自慢の投手陣をバックに少ない点差で競り勝つ。今はそこを目指すしかない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

ソフトバンク対阪神 4回表阪神2死二塁、佐藤輝は遊ゴロに終わりヘルメットをグラウンドへ脱ぎ捨てる(撮影・加藤哉)
ソフトバンク対阪神 4回表阪神2死二塁、佐藤輝は遊ゴロに終わりヘルメットをグラウンドへ脱ぎ捨てる(撮影・加藤哉)