暑い。まだ6月なのにうだるようだ。早過ぎる真夏の到来を感じるこの頃。夏は怪談シーズンだ。それ風に言わせてもらえば、まさに「大山の怪」である-。

虎党ならご存じだろう。大山悠輔といえば横浜スタジアムだ。入団6年目の大山、75試合の出場にとどまったルーキー時の17年をのぞけば過去4年でもっとも打ちまくった球場はここハマスタである。成績はざっとこんな感じだ。

21年 打率3割5分7厘 2本塁打

20年 打率3割6分6厘 3本塁打

19年 打率3割4分1厘 2本塁打

18年 打率4割3分5厘 4本塁打

4シーズンともセ・リーグの本拠地球場別の成績で見てベストの打率である。前監督・金本知憲の最終年となった18年9月16日には自身初となる1試合3発をここでマークしたのを記憶する虎党も多いだろう。

まさに「ハマスタといえば大山。大山といえばハマスタ」というべき相性のはず。それがどうだ。今年はここまで7試合で24打数3安打の打率1割2分5厘、球場別でワーストの成績に陥っている。本塁打はまだマークしていない。

阪神にとってDeNAは14年から8シーズン連続で勝ち越す“お得意さま”だ。その中で大山が貢献してきた部分も少なくないはず。もちろんDeNAだって研究してくるし、いつまでも同じ状況は続かないだろうけれど大山が横浜で打っていないことが、ここまで5勝7敗、さらに横浜で2勝5敗と負け越している1つの要因かもしれない。

この試合も8回に1死無走者の場面で二塁打を放ったがそこまで3打数無安打。1回に1点を先制し、追加点がほしいと思う2死三塁では二ゴロに倒れた。同点だった3回2死二、三塁では一邪飛を打ち上げ、6回無死一塁は中飛。走者を置いた場面では沈黙した。大山に早く1本出ていれば…と思ってしまう。

「走者をかえすところよね。10安打して(2点)。向こうは5本で4点。しっかりかえすというのができてないかなというのがあるけど」。指揮官・矢野燿大は名前を出さなかったがこの日でいえば、やはり5番の大山だろう。

交流戦からの絶好調がいつまでも続くはずもないけれど、連敗ストップのためにも、とりあえず30日は横浜で躍動する従来の姿を見せてほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)