悲観する理由はない今季初黒星だと思う。今季初先発の西純矢は制球がやや甘く、5回までに3失点。連日の雨に泣かされた試合は6回表、阪神の攻撃中に降雨コールドとなり、5試合目で初の敗戦だ。

だが5回3失点は先発投手なら最低限の仕事だろう。これから経験を積んでいく、若い投手。試合が続行されていれば好調な打線が追いついていたかもしれないし、正直、仕方がないところだと思う。

そんな敗戦の中、目を見張ったのが守備の締まり具合だった。パッと見ただけでも4度、「ほお」と思うプレーがあったのではないか。

まずは1回だ。1点を失い、なお1死一塁の場面。ここで4番マクブルームの右翼への大きな当たりをジャンピングキャッチしたのがルーキー森下翔太だ。打球を追ってフェンスに付き、そこからタイミングを取って跳ぶ。これでしっかり捕球した。落ち着いたプレーである。

「あの練習はこれまでしていましたからね。右手でフェンスとの距離を取ってね。まずは1つ1つ成長していってくれればいいんじゃないですか」

外野守備走塁コーチの筒井壮は目を細めた。この日の試合前も雨の中、外野ノックを敢行。その成果が出たことに手応えを感じた様子だった。

その直後。西川龍馬の飛球は遊撃後方へ上がる。風に流され、きわどかったが、小幡竜平が追いかけて好捕した。小幡はこの回、菊池涼介の当たりも後ろ向きでキャッチしており、いい動きを見せていた。

そして中野拓夢だ。2回、無死二塁のピンチから田中広輔が放った一、二塁間のゴロ。これを捕球し、体をひねりながら一塁送球する二塁手ならではの動きをしっかりこなした。

同じく中野は5回2死から秋山翔吾の同じような当たりを同じように処理。派手さはないが、指揮官・岡田彰布の二塁コンバートが間違っていなかったことを証明する動きだったと思う。

「うまいよね。頑張ってるよ。去年までと位置を入れ替えたみたいなもんだから。機能してるよね」。守備力向上を狙って今季から加入した内野守備走塁コーチ・馬場敏史も、“自画自賛”気味に話したものだ。

開幕5試合を終えて「貯金3」。7日からは甲子園でヤクルトを迎える3連戦だ。本拠地でも生まれ変わった守備力を見せ、虎党をうならせてほしい。(敬称略)

広島対阪神 6回表阪神無死、雨が強まって試合が中断され、ベンチへ戻る佐藤輝(右)と会沢(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 6回表阪神無死、雨が強まって試合が中断され、ベンチへ戻る佐藤輝(右)と会沢(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 大雨で試合が中断(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 大雨で試合が中断(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 6回表、降雨コールドゲームを宣言する嶋田主審(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 6回表、降雨コールドゲームを宣言する嶋田主審(撮影・岩下翔太)