【2015白球メモリー:石巻北・庄子航介投手(3年)】

 打たれても打たれても、最後までマウンドに立ち続けた。チームはバックを守る8人、ベンチで1人声を張り上げる大沼圭哉(よしき=3年)の10人のみ。唯一の控え投手だった大沼が、試合前日に右手を負傷した。「だれも自分の代わりにはなれない。何とかみんなで勝ちたい。ただそれだけでした」。

 136球を投げ、14安打11失点。苦しくても、体力、気力の限界を超えて腕を振り続けたのは「この仲間とやるのは最後だから」。4点ビハインドの6回表には自らランニング本塁打を放ち、一時逆転にも成功した。意地は見せた。

 8-11。勝利には1歩届かなかったが「やりきった」と涙はなかった。現3年生8人が引退すれば、部員は2年生1人、1年生1人だけになる。「新入生が入って、何とか(来年も)単独チームで出てほしい」。まだ見ぬ後輩たちが創部31年の伝統を受け継いでくれることを祈りながら、エースは最後の夏を終えた。【成田光季】