【2015白球メモリー:一戸・上平武蔵内野手(2年)】

 目標にしていたプレーボール弾を現実にした。「サイレンの中で打ちたいと思っていたんです」。1回表に先頭打者で左打席に立ち、初球のど真ん中の速球を捉えた。試合開始のサイレンが鳴り終わらないうちに、打球は右翼席に飛び込んだ。練習試合も含めて、高校初めての本塁打だった。

 春は3番打者を務めた。1番の柴田椋(3年)が大会直前に左足を骨折したため、打順がこの夏に変わった。「もともとホームランにこだわりはなかった」と言うが、リードオフマンとしてチームに勢いをもたらしたかった。プレーボール弾は狙っていたのだ。

 身長165センチと小柄。それでも冬場のウエートトレの成果で体重は5キロ増の60キロになった。「春から飛距離が伸びたんです」と打ち明けた。サヨナラ負けで空砲となったが「体が小さくてもホームランを打てることが、見せられて良かった」。秋以降につながる大きな1発だ。【久野朗】