久慈工の1年生右腕中村彪が、4失点の完投勝利を収めた。5回に4点差とされると、ベンチに戻ってから悔しくて泣いた。だが味方打線が6回に2点差に迫り、7回に3点を奪った。「チームが逆転してくれたので、思い切り投げるだけでした」。9回は1死二、三塁のピンチを踏ん張った。試合後はうれし涙をこぼした。

 盛岡大付との春の県大会2回戦に2番手で登板し、初球を本塁打されてサヨナラコールド負けを味わった。「1球の大切さを知りました」と振り返る。その後は低めに球を集めることを意識。速球は130キロに満たないが、カーブなどの変化球も制球力がついた。

 佐々木譲監督(26)は「いいボールを丁寧に投げ続ける力がある」と評価する。この夏は西和賀との初戦2回戦の先発を任されて、7回コールドの完封勝ち。この日は1点差を制して「かなり自信になります」と、背番号10のエース級1年生は目を見開いて言った。