前日に埼玉栄を破った白岡が、優勝候補筆頭の浦和学院も破る快進撃で、初の決勝進出を決めた。

 ミラクル白岡が決勝進出! ノーシードから勝ち上がった白岡が、準決勝で優勝候補の大本命・浦和学院を撃破。人口5万1700人の白岡市にある高校は1校だけ。オラが町の県立高校が、甲子園まであと1勝に迫った。

 鳥居俊秀監督(39)は「最後の最後まで分からなかった。『ひょっとしたら』なんてことは思わなかった」と汗をぬぐった。上尾の監督時代、9回2死から浦和学院に逆転負けを喫したことがあった。最後の最後まで気は抜けなかった。

 完勝の立役者は、先発した背番号7の谷中壮樹投手(3年)だ。強力打線を6安打1失点に封じ完投。「信じられない。ラッキーだった。大体このあたりかなと思って投げました。浦学相手なので打たれて当たり前。打たれても味方が取り返してくれるかなって」とあっけらかんと話した。この日の最速は128キロ。だが、カットボールがさえ渡り、丁寧に低めに集めた。

 小学生時代、近所の年上の友人に誘われ、上尾の試合を見に行った。その時にあいさつしたのが、今の鳥居監督だった。監督のもとで野球をやりたくて白岡へ入学。だが1年時は厳しい練習についていくのがやっと。母雪枝さん(43)は「夕食の準備をしている間にストッキングをはいたまま寝ちゃってました」と振り返る。谷中は「監督には怒鳴られるけど人間的に尊敬できる」という。

 埼玉栄に続き、浦和学院も破ったのは番狂わせではない。花咲徳栄との大一番も真っ向からぶつかる。【高橋悟史】

 ◆谷中壮樹(たになか・まさき)1997年(平9)10月2日、埼玉県生まれ。蓮田南小3年に「ヤングフェニックス」で野球を始める。蓮田南中では軟式野球部で投手。180センチ、70キロ。右投げ右打ち。