花咲徳栄が公立の白岡を破り、11年以来4年ぶり3度目の夏甲子園を決めた。

 花咲徳栄が黙ってない! 粘る白岡を振り切るように、高橋昂也投手(2年)は左腕をしならせた。9回表2死満塁。球場内にはミラクル白岡を信じる歓声が渦巻いた。カウント2-2からの6球目、「長く感じた」と高橋が言った0・5秒の間を置いて、球審の右手が上がった。4年ぶり3度目の夢舞台。ナインはみんなで抱き合った。

 春夏通じ6回目の甲子園となる岩井隆監督(45)は6回宙に舞った。「怖くて、苦しい試合でした」と声を絞り出した。「先制されても慌てるな。相手は勝ちを意識するからチャンスは来る」。読み通りだった。

 白岡・谷中壮樹投手(3年)のカットボールを攻略した。準決勝があった26日の深夜。分析担当の三塁コーチャー河上翔外野手(3年)はコーチらと、午前2時まで準決勝の白岡-浦和学院戦の映像を繰り返し見た。報告を受けた指揮官は「『浦学が打てなかったカットボール』じゃない。ただのスライダーだ。公立の意地って言うなら、私学のプライドを見せよう」。この日も朝6時30分から1時間、フリー打撃で感覚を研ぎ澄ました。2回に2点、3回に1点を挙げ、流れをつかんだ。

 昨夏は7月9日の開幕戦で敗退した。終業式前でみじめさだけが残った。翌10日からすぐに始動。久々宇(くぐう)竜也外野手(3年)は「休みたいなんて全然思わなかった」と言う。昨年の悔しさを糧に、花咲徳栄が大輪の花を咲かせた。【高橋悟史】

 ◆花咲徳栄(はなさきとくはる) 1982年(昭57)創立の男女共学の私立校。普通科と食育実践科があり、生徒数は1751人(女子725人)。野球部員は123人。夏の甲子園は01年に初出場し今回が3度目。センバツは過去3回出場で03年に8強。主なOBにオリックス若月健矢、ボクシング世界王者の内山高志。所在地は加須市花崎519。小林清木校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦9-0春日部工

3回戦7-2埼玉平成

4回戦9-0北本

5回戦10-3狭山ケ丘

準々決勝6-1西武学園文理

準決勝12-2松山

決勝5-2白岡