優勝候補の静岡が、静岡商とのライバル対決を制し、2年連続となる決勝へ駒を進めた。3回に3点を奪われ1-3と今大会初めてリードを奪われたが、5回2死満塁から4番堀内謙伍(3年)が走者一掃の逆転打。この回だけで一挙9得点。3季連続の甲子園へあと1勝とした。

 静岡の大黒柱が自らのバットで逆転勝ちを呼び込んだ。2点を追う5回、堀内が「チャンスで回ってくると思ってた」というように2死満塁で打席に立った。「強気で行こう」と1ボールからの2球目をフルスイング。やや外寄りの高め直球をとらえると左翼の頭上を越えた。「悪いときは体が開いて先っぽの一塁ゴロになる」と逆方向を意識した打撃が走者3人を迎え入れた。

 堀内にとって旧友との3度目の対戦となった。静岡商のエース森亮太(3年)は東海大翔洋中時代のチームメート。その森には2回に、もう少しで本塁打という中堅フェンス直撃の二塁打を打たれた。「真っすぐ(にヤマ)を張られましたね」と苦笑い。森も140キロのボールを投げ込んできたが「そこまで真っすぐが来てなかったので打てるかなと思った」と冷静に分析していた。

 試合後の整列ではお互いに言葉を交わした。

 堀内 ナイスピッチング。

 森 頑張ってくれよ。

 観戦していた東海大翔洋中で同期だった日大三島・平田優樹(3年)も「堀内が全部もっていきましたね」と話した。

 3季連続甲子園までM1とした。堀内の打撃も「ボールがよく見えている」と言うように上向きで、観戦に訪れた静岡OBのヤクルト小田義人スカウト(68)も堀内について「ずいぶん良くなったね」と感心した。堀内は「特別に打とうというよりも、1年間やってきたことをやりたい」と意気込んだ。決勝でも堀内が存在感を見せる。【加納慎也】