全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)東東京大会で、小山台・高田健太投手(3年)が3日、大会で一番乗りとなる完封で初戦突破した。公式戦初完投で3安打11奪三振。実践学園を5-0で下した。

 高田健は、つりそうになる右足にグッと力を入れた。9回2死。最後の打者から11三振目を奪うと、雄たけびを上げた。「つらかったです。何も考えずキャッチャーのミットに投げました」。大事な初戦を任され、公式戦初完投初完封。強心臓を買われ、最後の夏につけさせてもらった「背番号1」が、実力を証明した。

 1年の夏はBチーム(2軍)で中堅を守っていた。練習試合でノーバウンドでバックホームをしたことが、福嶋正信監督(60)の目に留まった。「もともと投手だったので、投手をやりたかったです」とアピールに成功。監督の助言もあり、上手投げから、2年の秋にサイドスローに変更した。スピードが増し、コントロールもつき公式戦の登板機会を得るようになった。

 3安打完封も、3四球を出し毎回のように走者を背負った。思い出したのは14年センバツ出場時にエースだった中大2年・伊藤優輔投手の言葉だった。「伊藤さんに『ツーストライクからはコースは狙わず、とにかく低めに集めろ』と言われたことを思い出しました。感謝です」。6回1死満塁は2者連続三振で切り抜けた。2日連続で練習に駆け付け、この日スタンドで見守ってくれた先輩に最高の形で恩を返した。

 都立校初となったセンバツ出場後、部員は増え109人の大所帯になった。三塁側スタンドからは、初戦と思えないほどの大声援が後押しした。福嶋監督は「苦しい試合だったが、(高田)健太はピンチになると燃える。堂々と乗り切るから、代えるタイミングがなかった」と笑ったが、創部初の8強超えを狙う勢いはついた。【和田美保】