第98回全国高校野球選手権大会(8月7日開幕、甲子園)の地方大会が9日、大阪で開幕。陸上男子400メートルのリオ五輪代表、金丸祐三(28=大塚製薬)の母校、大阪がコールド勝ちした。

 リオに旅立つ先輩に届け! 大阪の上林豊三塁手(3年)が不屈の闘志を見せた。6-3の8回2死満塁で左中間を破る適時三塁打。今夏の大阪大会初勝利を決定づける3点を手負いの上林がたたき出した。

 4-1で迎えた5回2死一塁の打席。投球が上林の左上側頭部を直撃した。京セラドーム大阪がざわつく中、いったん治療でベンチに下がった。一塁には臨時代走が送られた。5回裏が始まる前には試合が中断され、上林の治療終了を待った。拍手に迎えられ、三塁の守備位置に走った。

 激しい痛みこそなかったが、頭はぐらぐらし、守備の際に打球は見えず。それでも8回。千里を突き放す絶好の機会で、上林に打席が回ってきた。ファウルで粘った末の8球目は、狙っていた直球ではなく、変化球。「体が勝手に反応した。(これまでの打席で)変化球は合ってなかったけど、イメージはできてた」と左中間にはじき返した。山原康治監督(49)は「上林らしく粘って打った。持ち味を出せた」と喜んだ。

 高校OBに今夏、活躍が期待される選手がいる。リオデジャネイロ五輪に出場する陸上男子400メートルの金丸祐三(28=大塚製薬)だ。金丸を輩出した陸上部は野球部と同じグラウンドで活動しており、野球部員は陸上部顧問から走り方を教えてもらったこともある。上林は「走塁がうまくなった」と明かす。開幕戦は8回コールド発進。11日の金丸の壮行会で、先輩にエールを届ける。【中島万季】