群馬大会では、豊田義夫監督(80)率いる利根商が、コールド勝ちで初陣を飾った。

 80歳の大ベテラン監督が、教え子とつかんだ初戦突破の喜びをかみしめた。利根商の豊田監督は近大付(大阪)で3度のセンバツ出場を経験した名将だ。昨秋に利根商の監督に就任。同県公式戦の初勝利を手にした。

 試合を振り返り、豊田監督は「今日ほど緊張したのは初めて。甲子園よりも全然違いましたね」と話した。高校野球指導歴60年を誇るものの、群馬県での初の夏大会を迎えて緊張を隠せなかった。

 豊田監督の心境をよそに「豊田マジック」で力をつけた選手は大活躍した。木村直斗投手(3年)は同監督から、冬場は打撃練習をせずにひたすら10キロ走り込みを指示された。成果は表れ、直球の最速は昨夏の122キロから130キロに上がった。この試合、自己記録更新となる13三振を奪い「直球だけで三振がとれた」と目を輝かせた。目標を問われ「決勝進出」と頼もしく答えた。

 ナインは成長を試合で示した。序盤はスクイズで得点を挙げたが、その後は適時打が相次いだ。同監督は「スクイズで点を取ることも考えたが、指示を出す前に打者が打った。だが打たせることも大事だと思った」と打線を信頼して任せたと話した。

 教え子が届けた勝利に豊田監督は「最高の喜びですね。学校と部員にあらためて感謝したい」とうれしさを口にした。利根商の快進撃は、まだまだ続きそうだ。【秋吉裕介】