佐渡の右腕エース、野崎裕太(3年)が完封一番乗り! 新潟江南に8安打されながらも丁寧に低めを突き、2-0で公式戦初完封勝利を収めた。

 日焼けした野崎の顔から時折、白い歯がこぼれた。「楽しいと、勝手にそうなる」と初完封のマウンドをかみしめながら投げ続けた。テンポのいい投球を貫き、自分のリズムで打者に向かった。8安打されても本塁は踏ませない。4回には二塁打と四球で無死一、二塁のピンチ。しかし、けん制で二塁走者を刺すなど、冷静なマウンドさばきで危機を脱した。

 「もう1点取ってくれるまで、抑えなければと思っていた」と野崎は言った。2回2死一、二塁の場面は中前への先制適時打。貴重な1点を自分のバットで奪った後は、マウンドで打線の爆発を待った。チームの持ち味は守備力で、この日は無失策。「球を低めに集めて、打たせれば取ってくれる」とエースも守備は信頼していたからこそ、熱望していたのは打線の援護。味方は6回に追加点を上げて初完封を後押しした。

 開会式前日の7日から、佐渡は新潟市内に宿泊している。雨で試合が流れた9日は新潟向陽の設備を借りて練習した。「いい調整ができた」と野崎は、1回戦の準備に没頭。走り込み、捕手を座らせての20~30球の投球。慣れない練習環境の中でも、コンディション維持に努めた。

 継投策を視野に入れていた小林直人監督(28)は「調子がいい、という感じで投げていた」と野崎を続投させて初完封達成をバックアップした。昨夏から背番号1を背負っているエースは「今年は負けたら終わり。緊張感がある」と言う。しかし、決して1人で夏を乗り切るつもりはない。仲間たちを信頼していた。「(投手には)頼もしい後輩もいるから、全員で勝っていきたい」と夏に臨む構えを話した。【涌井幹雄】