99年以来9度目の夏甲子園出場を狙う都城が、7-3で延岡学園との名門対決を制した。プロ注目の最速151キロ右腕、山本由伸投手(3年)は7回2/3を投げ11奪三振3安打1失点(自責0)で勝利に貢献した。最速149キロの直球と高速スプリットなど多彩な変化球を織り交ぜ翻弄(ほんろう)。詰めかけたプロ12球団20人の評価を上げた。

 プロ注目の山本が剛腕のベールを脱いだ。「初戦で不安もあったが飛ばした」と初回からエンジン全開だ。1回、144キロ、145キロで2人を内野ゴロに仕留め、3人目を得意の139キロスプリットで空振り三振にする上々の立ち上がり。2回2死二塁からこの日最速の149キロ直球を左中間二塁打にされ1点を先制されたが、ここからが12球団約20人が見守った逸材の真骨頂だった。

 1-1に追いついた直後の3回だ。マウンドに上がる前、石原太一監督(22)から「締めていけ。頼むぞ」と鼓舞され、自身も「絶対に先頭を打ち取る」と気合を入れ直した。期待に応え143キロ外角直球、130キロカットボールで連続空振り三振とし、最後はスライダーで一ゴロで締め、流れを引き戻した。7-1の8回途中から右翼守備につき、9回1死一、二塁のピンチを迎えて再び登板し走者2人の生還を許した(自責は0)が「完投できる力はあったので」と涼しい顔でチームを救った。7回2/3を投げ11奪三振の力投で初戦突破に貢献した。

 目指す高みが発奮材料でもある。将来は「野球で稼げる選手になりたい」と話す。同様にプロが注目する福岡・九州産の最速154キロ右腕、梅野とは「大会に入り、お互い頑張ろうと連絡しました」という仲で、活躍が刺激にもなっていた。山本が「難しい試合になる」と覚悟した夏の甲子園に7度出場の強豪、延岡学園との初戦。難敵撃破を弾みに頂点を目指す。【菊川光一】

 ◆山本由伸(やまもと・よしのぶ)1998年(平10)8月17日、岡山県生まれ。野球は小1で始める。都城では1年秋からエース。昨年9月の新人戦決勝で無安打無得点、昨秋の県大会2回戦で5回参考ながら完全試合達成。50メートル走6秒2。右投げ右打ち。177センチ、77キロ。家族は両親と姉。血液型AB。