八戸西が青森商を10-0(6回コールド)で下し、3年ぶりの準決勝進出を決めた。エース竹本祐瑛(ひろあき=3年)が6回を4安打8三振無失点。打線は15安打と爆発した。竹本はこれで今大会3試合16イニング無失点。準決勝の相手はセンバツ出場の八戸学院光星だが、37年ぶりの決勝進出と悲願の初甲子園を目指し、公立の雄八戸西が全力でぶつかる。

 波乱も相次いだ青森大会で、春季県大会優勝の第1シード八戸西が順調に勝ち上がった。竹本は散発4安打1四球8奪三振で無失点と安定した投球。打線は4番佐々木壱成左翼手(3年)が二塁打を含む3安打3打点など、計15安打で伝統校青森商を圧倒した。6回裏、サヨナラコールド勝ちを決めると、ナインは笑顔で駆け寄った。

 185センチ、88キロの右腕竹本は力でなく技の投球で青森商打線を抑え込んだ。最速は143キロだが、この日は「内角を使い、低めに集めてゴロで打たせて取った」と竹本。今大会を通じて「球のスピードよりコントロールを重視して投げている」という。蝦名雄仁監督(23)は「高めに浮いていたところもあったが、よく投げた。まとまってきた」とエースの成長を認めた。

 春季県大会ではセンバツ出場の青森山田に勝った八戸工大一を準決勝で、同八戸学院光星に勝った弘前学院聖愛を決勝で破った。私立校優勢の前評判を覆して、公立校八戸西が優勝。だが春季東北大会では初戦で仙台育英(宮城)に5-9で敗れ、夏へ向けて挑戦者の意識を再確認した。

 準決勝はいよいよ光星と激突。14年秋の1年生大会、今春の八戸地区予選と竹本が投げて敗れている。竹本は「相手は打線に切れ目がないし、小技も持っている。1イニングに大量失点しないようにし、1つ1つアウトを取るようにテンポよく投げる」と三度目の正直に闘志をみせる。

 過去には2年連続で決勝進出の歴史を持つ。78年は青森北に3-4、79年は弘前実に2-4でいずれも惜敗、甲子園をあと1歩で逃した。悲願の甲子園まであと2つ。立ちはだかる光星に、蝦名監督は「向かっていくだけ。うちはベンチに入っている全員が1つになって勝つための仕事をしている。最少失点に抑えたい」。竹本は「昨年の三沢商(優勝校)のように公立校が光星を止めたい」と力強く宣言した。【北村宏平】