打ち勝って絶対王者の県連勝記録を止めた。第98回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)山梨大会決勝は、山梨学院が東海大甲府を12-5で下し、5年ぶり6度目の甲子園出場を決めた。準決勝まで4試合連続2桁安打と好調だった打線が、この日も16安打で12得点。07年に甲府工(決勝で敗退)が記録した夏の大会最多得点記録(73)を上回る77得点、1試合平均で15点を超す圧倒的攻撃力で頂点に立った。

 山梨学院の強力打線は、決勝の舞台でも猛威を振るった。0-0で迎えた2回、4番で主将の滝沢虎太朗外野手(3年)の中前打を皮切りに、2点を先制。東海大甲府の最速146キロ右腕・菊地大輝(3年)を、早々とマウンドから引きずり降ろした。吉田洸二監督(47)は「菊地くんが2回で(マウンドを)降りた時点で、勝ちを確信しました」という、勝負の分かれ目になった。

 4回に4点を奪われ1度は逆転を許すも、焦りはない。その裏、今度は菊地と2枚看板を張る2番手松葉行人投手(3年)にも牙をむいた。1死一、二塁から栗尾勇摩投手(2年)の右前適時打で1点を返し、なおも満塁と好機を広げ、1番土田佳武(かむ)外野手(3年)が走者一掃の右中間二塁打で再逆転に成功した。さらに6回、滝沢が左翼ポール際に2ランを放つなど、打者8人の猛攻で大量5点を加え、勝負を決めた。

 厳しい練習が集大成で花開いた。昨秋は3回戦で駿台甲府に逆転負け。チームは「限界突破」をテーマに改革に乗り出した。09年に清峰(長崎)をセンバツ優勝に導いた吉田監督が、同校伝統の「丸太トレーニング」を採用。7キロの丸太を背負ったダッシュなど、下半身を徹底的に強化した。そんな“猛特訓”は、冬場はほぼ毎日。春になっても1週間に1度と続き、さらに夏本番前にも行った。

 滝沢主将は「これだけ(練習を)やってきたから、逆転されても『打てる』と思って焦りはなかった」。メンタル強化にもつながり、県内公式戦最多連勝記録の34連勝を樹立した絶対王者を粉砕した。

 今大会、全5試合連続の2桁安打で77得点をたたき出した。滝沢主将は「新記録を出せて、自信になった。甲子園でも好投手を打ち崩して、山梨県代表として1つでも上にいきたい。その自信もあります」。敗れた35校の思いを背負って、5年ぶりの聖地でも快音を響かせる。【前田和哉】

 ◆山梨学院 1956年(昭31)創立の私立校。普通科、特進科、英語科があり、生徒数は1116人(女子503人)。野球部は57年に創部。部員数69人。甲子園出場は春2度、夏は6度目。主なOBは松本哲也(巨人)ら。所在地は甲府市酒折3の3の1。山内紀幸校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦19-2韮崎工

3回戦28-3甲府昭和

準々決勝11-0富士学苑

準決勝7-0日本航空

決勝12-5東海大甲府