利府が春の宮城王者・東陵に3-1で勝利し、2年ぶりの甲子園出場に王手。決勝は28日午後1時からコボスタ宮城で行われる。

 キャプテンへの強い思いを胸に秘めた利府が、優勝候補・東陵を逆転で撃破した。1点を追う6回に、4番伊藤理久外野手(3年)が左中間を破る二塁打で同点。7回には1番小池麗士外野手(2年)が「ストライクが来ると思って狙っていた」と、カウント3ボールから右前打で勝ち越した。

 柴田との準々決勝で、4番で主将の北條喜大内野手(3年)が左足を負傷。準決勝はスタメンを外れてベンチにいた。名取北を率いていた時に、岸(西武)を育てた田野誠監督(45)は「北條が戻ってくるまで終わらせてたらいけない、とハッパをかけた」と明かす。その言葉がカンフル剤となって選手を奮い立たせた。

 準々決勝の6番から4番を任された伊藤は、黒のバットで同点タイムリーを放った。「北條のバットです。北條のためにという気持ちが一番強かった」と胸を張った。1失点完投のエース右腕木村俊仁(3年)は「今日はストレートが走っていた。何で良かったのかは、強いて言えば北條がいないのに負けるわけにはいかない」と力に変えた。

 「周りが良くやってくれた」と感謝する北條は、明日28日の決勝の出場は微妙。だが田野監督は「せっかくここまで来た。できることを一生懸命やるだけです」と言った。2年前も今年と同じようにノーシードから優勝した。東北には昨秋、今春の県大会と2度苦杯をなめた。2度目の甲子園を勝ち取るには、格好の相手になる。【久野朗】